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海外メディア「日本核汚染」東京から離れろの流言飛語

   福島第1原発の2号機で15日未明(2011年3月)に爆発音がして、原発正面のモニタリング数値が制限値の16倍に達する高濃度放射線を記録した。現場で作業中の職員も移動を始めたという。

   炉心が溶融し多量の放射線漏れを起こす最悪のメルトダウンも否定できなくなったという2号機で、いったい何が起きたのか。

混乱する情報、稚拙な説明

   午前6時50分に枝野官房長官が会見で「2号機の一部に欠損があること分かった」と明かした。続いて8時過ぎに保安院が会見し、「午前6時50分ごろ爆発音が聞こえたという報告を受けた」という。さらに「放射線の数値は午前7時で1時間当たり965.5マイクロシーベルトと上がったが、7時5分には387.3に下がっている」と発表している。

   欠損した場所は2号機の格納容器の下部にあり、原子炉容器にパイプで接続されたサプレッションチェンバーと呼ばれる装置。格納容器内の圧力が蒸気によって上昇した場合に、蒸気を冷やし圧力を下げる役目があり、その装置に穴か何かの欠損が生じたらしい。

   その後、東京電力側の会見で「(爆発・欠損の)事実はこれまでとは違う印象だ。当社の職員を含め今回初めて移動を開始した」と発表。「何人を移動させたか」については「……」だった。

   まず、枝野官房長官と保安院の情報開示の順序が逆さのためにキャスターの小倉智昭が勘違いし、「欠損が生じたために爆発が起きたのですかね」と疑問を。放射能汚染に詳しい岡本孝司東大大学院教授は「逆でしょう。爆発が起きたから欠損が生じた。よくは分からないが、最後の砦である原子炉格納容器の一部に穴か何かができたのかもしれないですね」という。

担当者がよくわかっていない

   小倉「職員の移動が避難を示しているのかどうか分からない」

   岡本「情報は取れているが、その情報をどう解釈するか。複雑なことが起きて非常に解釈が難しいというのだと思う」

   山村武彦防災システム研究所長は手厳しい。

「一生懸命やっていることは分かるが、事実関係はここまで、その解釈はこうですと分かりやすく説明すればいい。説明している人が分かっていない感じがするし、説明が稚拙です」

   「ニューズウィーク日本版」編集主幹の竹田圭吾は「海外のメディアは、日本全体が放射能汚染になっていると受け止められかねないような報道をしている。海外メディアに情報を全面開示した方がいい」と指摘する。

   そういえばフランスにいる筆者の知人も、「東京在住の仏人は放射能に汚染されるから東京を離れろという話が出ている」という。

   ところが、番組最後になって第2原発正門の放射線の量は8217マイクロシーベルトの高濃度まで急上昇したことが分かった。刻々と変わる状況に現場がもはや追いついていけない状態が続いている。