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福島乗り込む原発会社アレバ「ヨ~シ、任せとけ!」の頼りがい

   フランスからジャンヌ・ダルクがやってきた。世界で唯一、原子炉燃料から原発の運営、汚染された水の処理まで、全体を掌握できる原発会社「アレバ」の女性CEOロベルジョン氏が、部下の専門家5人と30日(2011年3月)、成田空港に到着した。

   当事者能力を失った東京電力首脳に代わって、救世主の役割を発揮してもらえるのか。

東電いまだこの脳天気

   東電の勝俣恒久会長が入院してしまった社長に代わって初めて会見に及んだ。ところが、「思わぬ発言に波紋が広がっています」(小倉智昭キャスター)と言う。「1~6号機まで一応の安定を見ることができました」と話したからだ。汚染水処理のメドも立たない緊急事態が続いていることに代わりはないのに、最高責任者がこの脳天気ではいよいよ心許ない。

   これに原子力安全委員会がまず反応し、「事故はまだ収束していません。なにが起きるか予断を許さない状況が続いていると思うのが普通だと思う」と会長発言を否定した。枝野官房長官も「政府が認識とか判断とかいう以前に、社会的な見方がはっきりしていると思う」と厳しい。

汚染処理の専門家5人

   そこに登場したのが「アレバ」。本社に電話取材したところ、スポークスマンから次のような答えが返ってきた。

「日本に行った5人は、汚染処理の知識と経験がある専門家。何度も危機的状況を乗り越えてきた。すでに必要な機器類はすべて集め終わっていて、すぐにでも送れる態勢にあります。日本支援に尽力します」

   元東電社員で次世代原子炉を研究していたという高木直行(東海大教授)によると、アレバは原子力燃料の製造や再処理、廃棄物処理をする会社と、原子炉プラントの製造会社が一緒になってできた会社。世界中の原発の95 %と取り引きがあるという。

   小倉「日本の原子力発電は世界一安全だと評価されたこともあるようですし、(日本の)技術力は高いはずでしょう?」

   これに我が意を得たりと高木が「もちろん技術レベルは高いものです。自信を持っていい。ただ、燃料サイクル全般に関してはまだ経験がない」という。

   原子炉圧力容器は日本製鋼所が全世界の80%のシェアを持っているという話もあり、機器製造の技術は定評がある。津波の来襲をきちっと想定した東北電力の女川原発と比べても分かるが、素人目でも今回の事故の根本原因はそうした機器の欠陥にあったのではなさそう。むしろ原発全体の設計思想が稚拙だったのではないか。津波を甘く見て、冷却機のバックアップシステムがすべて海側に置かれていたなど、想定の甘さは歴然である。ことここに至ってはアレバに期待するしかない。