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気仙町被災者たち「法要の花見」太鼓打ってみんなで歌って…

   赤江珠緒キャスターが3週間ぶりに陸前高田市を訪ねた。高台にある金剛寺で行われたお花見の取材だったが、町もかなり片付けが進んでいた。「道路が広くなってます」

   赤江は前回会ったお寺で共同生活する人たちを再訪した。電気もガスも水道もないなか、あえて避難所へ行かなかった人たち。「遺体があがったとき、だれかが確認しないといけない」「まだ仲間たちがいるんだ」と、一面のがれきと化した町を見下ろしながら話す。

   お寺の下にはボランティアが作ったテント式のお風呂ができていた。「お風呂ですよー」と赤江。ライフラインがないのは変わらないが、住民は元気だった。寺からは太鼓の響き。花見のイベントの練習だった。

瓦礫の中から掘り出した伝統の太鼓

   寺から少し離れたところに住む佐藤直志さん(77)、テル子さん(72)夫妻も元気だったが、震災で消防団員だった長男(47)を亡くしている。赤江は前回訪れたとき、「さくらの頃にまた」と約束していた。佐藤さんは花見を企画した1人だ。

「法要をやって、避難所の人たちを招いて元気をつけて、気仙町の復興をがんばろうという呼びかけ」

   そしてきのう(2011年4月17日)、金剛寺に大勢の人が集まった。さくらはいつに変わらず花を開いていた。この集落では10人が亡くなった。その法要のあと、伝統の太鼓打ち。 がれきのなかから掘り出したものだという。

   久しぶりに戻ってきた人がいう。

「避難所だと違う言葉遣いになるでしょ。ここだと普段通りにしゃべれるからいいね」

   あちこちの避難所に分散して、しばらくぶりの再会をみな喜び合っていた。「故郷気仙復興のために、焦らずに一歩一歩進みたい」佐藤さんが話すと、別の男性は「この山の木を全部切って、高台に同じような家を建てて皆で住もう。気仙大工の技と気仙杉で住宅を作ろう。今度津波が来たら、上から眺めていよう」と言う。これに「オレの山の木も切ってくれ」と佐藤さん。

「負けないでけっぱる。ありがとね」

   そしてみんなで歌った。

「兎追いしかの山、小ブナ釣りしかの川……」

   肩を組み、抱き合い、涙しながら歌った。テル子さんは「みなさんのパワーをもらって元気。明日あさってはどうなるか」と笑うが、佐藤さんは「息子も満足してると思うんだ。集まった人たちに感謝をしながら、あの世に旅立っていけた」

   赤江が「これからもけっぱって(頑張って)」というのに、佐藤さんも「負けないでけっぱる。ありがとね」

   いいレポートだった。

   司会の羽鳥慎一「決意を感じますね」

   青木理(ジャーナリスト)「これがホントの花見なんでしょうね。ちょっとうるっとしちゃいました」

   羽鳥「また緑が蘇った頃に行ってください」