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「原発のウソ」著者の京大・小出裕章助教「本が売れてもうれしくない」

   原発関連の書籍でいまダントツ1位の本がある。6月2日(2011年)に発売され、わずか20日間で17万部も売れた「原発のウソ」だ。著者は、原発を研究しながら、反原発を訴え続ける京都大学原子炉実験所の小出裕章助教。「朝ズバッ!」が小出助教に話を聞いた。

破局的事故の可能性は常にある

   ―本が売れていることをどう思いますか。

「うれしくないです。売れているということは、原発の事故が起きてしまったから」

   ―この本の中で、一番伝えたかったことはなんですか。

「日本人に原子力とはどういうものか気付いてほしいということ。1度手を染めてしまえば、100万年にもわたって毒性が続く。自分では始末におえないごみを生み出すというものです」

   小出助教は6月23日には参院行政監視委員会に呼ばれて次のように述べている。

「どんなに事故が起きてほしくないと願ったところで、破局的な事故の可能性は常に残っている。原子力を推進する人たちがどういう対策をとったかというと、想定不適当という烙印を押して無視してしまうことでした」

東大教授は批判的書評

   もっとも、この本に関しては次のように書評をする学者もいる。東大大学院工学系研究科の寺井隆幸教授で、「論点の整理がうまくできていて、一般の方に分かりやすく書かれている。ただ、同じ事柄に対して正反対のことを言っている方もおられるので、しっかり調べてからご自分で判断すべきだと思いますね」という。

   司会のみのもんた「非常に分かりやすい。とっくに教授になっていいようなキャリアの方と思いますがね」

   これにゲスト出演した落語家の桂文珍が、「1度読んでみたいでですな。助教ですか、お立場が何となくわかるような気がしますね」

   国の原発推進に反対する主張し続けて40年。事故が起きて初めて立法府からのお呼びがかかり、原発の危険性を開陳できたことの悔しさ。本が売れても「うれしくない」という著者の気持ちはわかる。