今回は、主として悩む「社長」についての放送であった。いつも威張っているお偉い社長が経営で困ったとき、悩んだときには、どうすればいいのか。誰に相談すればいいのか。これは多くの視聴者にとって切実な問題であろう。
第三者的に適当に思いつくのは、コンサルタント、奥さん/夫、占い、サイコロ、神様仏様あたり。クローズアップ現代は、そこにあらたな選択肢を加えてくれた。それは「コーチ」だ。社長をコーチングできる、専門のコーチをつける社長が増えているんだとか。
で、コーチ/コーチングとはなんなのか。コーチングに大変詳しいという田坂広志・多摩大学大学院教授によると、「『気づきを促す技法』で(も)ある」そうだ。「コーチングでは、答えを教えず、答えは社長自身のなかにあり、それに気づくプロセスを支えてあげる」のだという。
「コンサルタントとコーチングはどう違うんですか」と国谷裕子キャスターが田坂教授に聞く。コンサルタントは「専門的具体的なテーマについて、答えを教える」。一方、コーチングは、答えを教えてあげない。気づかせるのである。なかなかクモをつかむような話ではある。
番組がとりあげた実例では、コーチは社長に、さまざま角度から質問を投げかけるという手法を取った。ある会社の社長は、こうしたコーチングを受けることにより、自分はまだ技術者気分が抜けていない、経営者にならなければいけないと、気づいたそうである。
田坂教授によれば、コーチングの重要性はますます高まっている。もう一般的なコンサルタント的アドバイスが通用しなくなってきてるからだそうだ。
たとえば、このジャンルの企業にはこれこれのキーポイントがあってそれをやれば成功できるだとか、過去の成功例から学んで云々、という方程式な手法ではうまくいかない。「どうしたらいいかわからない問題がいっぱいある」のがいまの時代。そんなとき、社長自身に答えを考えさせるコーチングは威力を発揮するんだそうな。
*NHKクローズアップ現代(2011年9月27日放送「『コーチ』をつける社長たち」)
ボンド柳生