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企業・市民も罰せられる「暴力団排除条例」―こんなケースどうなの?

   東京と沖縄で10月1日(2011年)に暴力団排除条例が施行され、全都道府県が出そろった。主眼は一般市民が交際しないことで暴力団の資金源を絶つこと。違反すると市民も罰せられる。いってみれば、臭いを元から絶とうということだ。

「あなた暴力団員ですか」なんて聞けないし…

   警察庁は「表に出たものを警察が摘発するだけでは足りない。市民が勇気を持って、経済活動、商取引の中から暴力団との関係を遮断していくことが必要」という。長年の取り締まりでも、絶えずいたちごっこに終わってきた警察が、 最後に出した切り札ともいえる。具体的には「みかじめ料」「用心棒代」を払わない、暴力団のイベントや宴会は受け付けない、暴力団の利益になる商行為は禁止などだ。

   しかし、飲食店は外見だけで客を追い返すことができるのか。「あなたは暴力団ですか」と聞けるか。直接接する一般市民に荷が重過ぎないか。東京のあるすし店でも、「入ってきた客を断ることはできないし、出前もやっているから、配達先がどこだからと断るのは難しい」という。

   先週金曜日(9月30日)、熊本で暴力団組員2人が暴排条例違反で初めて逮捕された。容疑は飲食店経営者に「造花リース」の名目で「用心棒代」5000円を出させたというもの。4月1日に施行された熊本では、商店街の人たちは「いまはもう排除した」「最近来ない」という。暴力団事務所も減りつつあるが、まだ残っていたということか。あるいはみおな口にしないだけなのか。いずれにしても、これが度重なると払った方も罰せられる。これが新条例の最大の特徴だ。

「暴力団お断り」47年の飲食店主「みかじめ料は客につけ回し」

   ベストセラー「ヤクザが店にやってきた」の著者で飲食店経営の宮本照夫さん(73)は、「みかじめ料を払えば、それをお客さんから取らないといけない」と話す。47年間も「暴力団お断り」でやってきたが、殴られたりもあったという。「早くにできていれば楽ができたろう」

   では、どこまでの付き合いならいいのか。司会のみのもんたが「たとえば、同級生で暴力団員が同窓会に来ちゃったら?」と犬塚浩弁護士に聞いた。

「暴力団活動を助長したことにはならないから、それだけでは問題になりません」

   要は、はっきりそれとわかる人とはつき合わないということ。

   みの「古い知り合いが暴力団員だったら」「暴力団員が日用品を買いにきた」「暴力団員風の露天で買い物は?」

   犬塚「利益を供与することにはならないから問題はありません」

   みの「露天で買ったりしても…」

   犬塚「それはいいのですが、祭りに参加させたら主催者が違反になる」

   違反すると公安委員会から勧告を受け、改善されなければ社名が公表される。場合によっては銀行から融資が止まることもありうるという。そうやって追い込むわけか。条例はわかった。

   しかし、暴力団員を接するのは一般市民だ。トラブルになったときに、警察がちゃんと守ってくれるのか。ここを詰めないと話は完結しないぞ。