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洪水の中で操業続けるタイ日系企業社長「供給責任がありますから」

   タイの洪水で日系企業の操業が止まって、カメラ、車、ハードディスクから時計、メガネまで年末商戦の商品に影響が出るのは確実。ところが、現地に乗り込んでいる奥平邦彦レポーターがたずねた日系工場では水の中で操業を続けていた。

トランス製造の「SDSエレクトリック社」

   奥平はバンコク から60キロのランシット工業団地を訪ねた。60社のうち半数が日系企業だ。車を水際で降りたあと、水上に桟橋のように板を渡した歩道 を歩いて中心部へ。そこで待っていたのは従業員の通勤と機材を運ぶためのボートだった。奥平がボートで近づいたのは「SDSエレクトリック社」。奥平が「こんにちは」というと、日本語で「こんにちは」が返ってきた。トランスなどを作る会社だ。

   この団地は10月18日(2011年)に浸水して水位は最高で1・5メートルになった。今は少し水が引いた状態だという。出入り口や窓はカベで固めて水を防いでいる。従業員22人は避難したが、電気などが確保されているため近くに住む6人が出勤してきて作業中だった。

   どうやって被害を免れたのか。安井啓二社長によると、上流のナワナコン工業団地の企業などに水の流れの情報を聞いて準備をした。土嚢やブロックを積んで目張りをし、工場内も仕切っていた。それでも水が入ってくるため、床もかさ上げして資材を移すなどしていた。

   安井社長は「これで結果的に機械や部品を守れた。製造業なので供給責任があります。100%とはいかないが、納入先のラインを止めないように」という。ただ、製品の運び出しがボートなので、大きなものはできない。

ドンムアン空港の北で一帯は完全水没

   みのもんたは「高床式にするしかないね」と簡単にいう。キャスターの加藤シルビアが地図で見せると、この工場は水没したドンムアン空港のさらに北。一帯は完全に水の中にある。

   城戸真亜子(画家)「責任があるというのが…」

   みの「すばらしいですね」

   城戸「原子力安全…に聞かせたいような」

   みの「日が暮れちゃうよ、なんていってらんない」

   ちょっと説明が必要だ。このコーナーの少し前、毎日新聞が情報公開で入手した文書で、唯一の原発検査機関の独立行政法人「原子力安全基盤機構」が、検査される側が作った資料を丸写ししたものをもとに検査していたという話があった。原子力安全・保安院も「手抜きといわれても仕方がない」と認めているが、機構の幹部 は「自前でやってたら日が暮れちゃう」といったという。どうせ天下りだろうが、タイの社長さんの爪のアカでも煎じて飲ませたい。