「今話題になっているTPPですが、番組ではこだわり過ぎて出遅れ感がありますが、ドラマの3話立てで展開して行きます」と有働由美子キャスターが難題の特集をスタートさせた。ドラマ仕立てでTPPを解説しようというのだが、スタジオのゲストが一方的に賛否を開陳するという「予想通り」の展開になった。
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉では21分野が対象だが、「あさイチ」が取り上げたのは食品、仕事/給料、医療の3分野だ。「関税がなくなれば、牛肉は300円のものが220円(1キロ当たり)に下がります」と藤井彩子アナは言うが、海外食品の残留農薬の基準の甘さや遺伝子組み換え食品への懸念に話は飛んでしまう。
TPP賛成派の山下仁一氏(元農林水産省官僚)は「WHO(世界貿易機関)の協定で各国が基準を作れるので、輸入規制は可能です」と言い、反対派の藤井聡・京都大学大学院教授は「一番強いアメリカの主張が通る方が多い。だから農薬や遺伝子組み換え食品を押し付けてくるのは自明の理。日本の食品安全基準をメチャメチャにされる」と猛反論する。
仕事/給料でも、「輸出は増加しても給料は上がらない。理由は海外企業の安い給料に合わせざるを得ないからです」と経済評論家の三橋貴明さんは主張し、山下氏は「関税がなくなれば、その税金の分が利益になるので給料に反映できます」と話す。
山口もえ(タレント)の大ボケ質問でスタジオが少し和んだ。
「海外と直接交渉ならみんな英語でしょうォ、大変ですよね」
有働「そ、そうですね」
藤井「TPPに入ると日本のGDPが2700億円増えると言っていますが、年収500万円の世帯で置き換えれば、年間でわずか2700円増えるだけです」
山下「これは単純計算だけで便利さが入っていません」
どこまでいっても言いっ放しで噛みあわない。スタジオにも「聞いていてイライラします。どっちがいいのか判断できません」というFAXも寄せられて、さすがの有働も「両方知っていただいて、皆さんで考えて判断して下さい」と苦し紛れのまとめ。こんな短時間でTPP問題を取り上げること自体が無茶な企画ということだ。せめて、医療など1つの分野に絞れば良かった。
(磯G)