3月4日(2012年)に行われるロシア大統領選挙でプーチン首相は4年ぶりに返り咲くのか。キャスターの国谷裕子は「絶大な権力を持つ首相ですが、その選挙戦は楽観視できません。いかれたプーチンなどと呼ばれ、モスクワを中心に反プーチン派の動きが強まっています」と伝えた。
はびこる不正や賄賂、拡大する経済格差に対するロシア国民の不満は我慢の限界に達している。首都モスクワにある公園の再開発計画では、市民の憩いの場を廃止して高齢者用介護施設の建設することになったが、建設を巡って汚職が発覚。また、去年12月の下院選挙の与党の不正疑惑も浮上、プーチン首相の大統領復帰に異議を唱える抗議デモが全国に拡大している。
ゲストの河東哲夫(東京財団上席研究員)は「州知事など地方の首長を事実上の任命制にするなど、プーチン首相が大統領時代すすめた中央集権化による抑圧的な政治体制や生活費の高騰、医療水準の低さを理由に、海外へ移住したいと考えている人が増えています」と解説した。
こうした動きに対して、プーチン陣営は大規模な官製支持集会を次々と開催し、大国ロシアの再建を進めてきた実績のアピールに懸命だ。
国谷「プーチン首相への支持率はここに来て若干持ち直しつつあるようですが…」
河東「賄賂や汚職がはびこる硬直した社会に対する不満はなかなか消えないでしょう。ロシアは積極的な市場経済導入を目指していますが、いまだに市場経済化されていないのが実状です。プーチン首相が大統領に返り咲いても、ロシア経済や生活が豊かになると考えている人は少ないと思います」
ロシアのベンチャー企業経営者が国内にとどまるべきか、国外に出るべきかで悩む姿を番組では伝えた。第2次プーチン大統領になっても、市場経済がさらに社会の不満を拡大するという悪循環から簡単には抜け出せそうにない。
*NHKクローズアップ現代(2012年月日放送「揺らぐ『プーチンのロシア』」
文・ナオジン