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原発事故から1年の福島・大熊町―2時46分で止まったままの時計

   あの3月11日から1年がまもなくやってくる。直後に押し寄せた大津波、さらに東京電力福島第一原発事故。今も福島県では約20万人が県外・県内で避難生活を送っている。阿部祐二リポーターが福島第一原発から20キロ圏内の警戒地域である福島県大熊町に特別の許可を得て入った。

「地震と津波だけならなんとか復興できたのに…」

   阿部が最初に目にしたものは野生化した牛や豚の家畜だった。約20頭の牛が群れてて町中を彷徨していた。あちこちで置き去りにされたペットは、「政府は原発事故直後、放射性物質の拡散を防ぐために住民を避難させて、家畜やペットなどの持ち出しを禁じました」と阿部は伝える。司会の加藤浩次は「動物たちが可哀想。事故直後なら何か手が打てたはずなのに」と嘆いた。

   次に阿部が訪れたのは福島第一原発から2.5キロ離れた高台にある介護施設。阿部は施設前の道路に立ち、「道は今もゆがんだままで亀裂が入っています。前方には建て屋が吹き飛び格納容器が剥き出しになったままの4号機が見えます」と語り、息をのんだ。さらに、除染作業を行うための準備調査に入った大熊町役場を訪れる。

「役場内の時計はどれも午後2時46分で止まっています。そして、机の上はついさっきまで仕事をしていたような状態で残されたまま。慌てて職員の方々が逃げ出した様子が伺えます」

   職員は「震災と津波だけなら町の復興はできた。でも、そこに原発事故が起きたので町の復興は難しい」という。

j時間だけが過ぎ進展しない復旧

   加藤「町の人たちはこれからどうなるの」

   阿部「この1年、時間だけが過ぎても事態は何も進展してないもどかしさを感じている住民の方が多いようです」

   キャスターのテリー伊藤「国が全面的に責任を持って町の人たちのこれからを考えるべきだ。故郷に戻れないということがどれだけのことなのか。政府は分かっているのだろうか」

   原発が何をもたらすか。こんな惨状を引き起こしても、まだ日本経済のためには原発は不可欠というのだろうか。そんなものに支えられなければならない日本経済とは、誰のためものなのか。