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性同一障害で性別変更の男性「私を父親と認めて」戸籍訂正の訴え

   性同一性障害で女性から男性に戸籍変更した夫を法律上の父親として認めてほしいという申し立てが、きのう21日(2012年3月)、東京家庭裁判所にあった。男性として認められ、女性との結婚も認められたにもかかわらず、生まれた子どもの父親としては認められないのは不当だという訴えだ。

法務省「生物学的に父親でないことは明らか」

   申し立てをしたのは大阪府に住む夫(29)と妻(30)。夫は心と体の性別が一致しない性同一性障害で、4年前に女性から男性に性別を変えた。結婚後、妻は第3者からの精子提供を受けて妊娠、男の子を出産した。しかし、出生届の際、夫は父親と認められず、父親の欄は空欄のままだ。夫は「息子は僕をパパと呼び、妻をママと呼ぶ。僕は息子を本当に愛しています。こんなに息子を愛して育てているのに、どうして父親として認められないのか」と訴える。

   アナウンサーの森圭介が解説する。一般の夫婦では、夫に精子がなく妻が夫以外の男性から精子の提供を受けて妊娠、出産した場合、夫に血縁関係がなくても法律上も父親と認められる。形式的にはそれと同じケースに見えるが、法務省は夫が性別変更をしているため「夫が生物学的に父親でないことは明らか」として父親として認めらないとしている。

   コメンテーターの本村健太郎(弁護士)は、「今の法律は妻が結婚している間に生まれた子どもは夫の子どもであると推定されるという規定。生まれた子どもが明らかに夫の子どもではないとわかる場合は、推定が働かないというのが役所の立場だ」と解説する。

第三者の精子による妊娠・出産でも「一般夫婦」は父親認定

   司会の加藤浩次「それはおかしい。気持ち的には男になっていいと決まっていて、夫婦になっていいと決まっていて、一般という言葉を使いたくないが、そのケースと同じことではないか」

   キャスターのテリー伊藤「これに何が欠けているかといえば、愛だ。子どもにパパと言われるのに、パパではないということを何と説明するのか。女性から男性への戸籍変更が認められた段階で予想できたことだ」

   本村「今の法律は第三者の精子で出産するといった高度に進んだ生殖補助医療を想定していなかった。法律の解釈をガラッと変えることができれば、大きな進展がみられる可能性はある」

   性別変更で夫が結婚して子どもをもうけたケースは全国で16件あるという。

一ツ石