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「不動産業者」足元見て被災地買い漁り―公示地価二極化

   きのう22日(2012年3月)、国土交通省は今年の公示地価を発表した。東日本大震災の影響が色濃く、同じ被災地でも津波の被害を受けた低い土地が大きく下落。逆に高台は6割も高騰したところがあった。

60%も上昇した石巻の新興住宅地

   下落率が一番大きかったのは仙台市若葉区荒井神屋敷の27.0%。 以下10位までのうち7か所が被災地で、液状化の千葉・浦安も並ぶ。上昇では、石巻市須江しらさぎ台が60.7%と飛び抜けていて、次いで石巻市新栄29.2%、気仙沼市東新城18.1%など宮城県が続く。安全な土地が少なく、購買が限られた地域に集中していることがわかる。

   石巻・しらさぎ台は海から離れた高台の新興住宅地で、建築ラッシュが始まっていた。以前からの住民は「私たちのときより倍くらいになっている」と言い、最近引っ越してきた人は「海の近くでないので安心かなと」という。

   同じ石巻市内でも、水をかぶったところは下落、助かったところは上昇とはっきりしている。不動産業者は「賃貸物件も満室状態で、ワンルームでも1万円くらいは上がっています」という。仙台から転勤になったという男性は、「50~60人待ちだという。通いながら気長に待つしかない」と話す。

被災者「とりあえずお金必要と安値で売り出し」

   沿岸部への懸念は東北だけではなかった。マップでみると、東海、 東南海地震の影響がいわれる茨城、千葉、神奈川から伊豆、静岡、愛知と軒並みの下落だ。多少の上昇を示すところは高台で、安全が金額になっていることがわかる。たとえば静岡・沼津市内浦重須地区には150年前の大津波の記録がある。東日本大震災を見て、地域全体の高台移転という話が持ち上がっていた。8割 の住民が賛成だという。ここには鉄骨で作った緊急避難タワーもあるが、東日本大震災の津波映像に誰もが不安を抱いた。移住候補地はみかん畑だ。

   司会の小倉智昭「震災から2か月後には、不動産、中古のプレハブ資材、中古の自動車が高くて買えない、バブルになってるといってたが、やはり価格に出ましたね」

   深澤真紀(コラムニスト)「お気の毒ですよね。売りたい土地は安く、買いたい土地は高い。何らかの公的措置が必要でしょう。伊豆の例のように予防もできたらいい」

   小倉「原発被害の地域は国が一括買い上げもありうるが、津波の地区ではそんな話はない」

   ショーン・ マクアードル川上(経営コンサルタント)「お金のある人が買ってしまうとますます格差が開く。国が何らかの形で入らないと大変なことになる」

   笠井信輔アナ「被災して更地になっているところも売られている。不動産屋が買い取っているので当然安い値段だが、被災者はそれでもありがたいといってる。とりあえずお金が必要だからと」

   中野美奈子アナ「仙台へ移る友人がいるが、家が見つからないと言ってる」

   小倉「若林区で津波を逃れたところは、地震で家の中はぐちゃぐちゃ。救援物資ももらえなかった。それが下落したら踏んだり蹴ったりだ」

   ショーン「開発特区にして、区画整理と土地開発を国と自治体が一緒にやらないといけない」

   小倉「政府のやることが後手後手。お気の毒です」