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「北朝鮮ミサイル」3・11繰り返し―政府混乱・情報出し渋り

   トップニュースはきのう12日(2012年4月) 京都・祇園で起こった暴走車事件だった。信号無視で交差点を突っ切って歩行者をはね、死者7人、 負傷11人という異常な事件だ。ところが、まだVTRで経過を説明していた8時2分、突然「北がミサイル発射」という速報が入って京都は吹っ飛んだ。

米韓の情報先行―首相官邸は「確認していません」

   報道センターの岸田雪子アナを軸にドタバタが始まった。まず「韓国軍関係者によると、さきほどミサイルが発射された模様。発射は午前7時39分。しかし成功したかどうかは確認中」という速報をなんども繰り返す。8時4分、 緊急情報システム「Em-Ne」の画面が出て、「日本政府はまだ確認していない」と自治体向けの発信。8時6分、 国会記者会館から同じ内容。

   次はソウルの記者。8時過ぎに国防省が会見して、「発射した模様。成功かどうかは米韓当局が分析中」と伝え、米NBCテレビも「米高官も発射を確認」と流す。報道センターには武貞秀士・苑世大教授がいた。「米、韓の情報が先行している」

   8時12分、ワシントンから「ホワイトハウスが確認した。オバマ大統領は非難声明をするとみられる。テレビも一斉に特番に切り替わった」

   さあ、それからが迷走だ。韓国にもどり、次はPAC3が配備された石垣島だ。「大きな動きはありません」と報じていたが、石垣市役所には自衛隊から「打ち上げた可能性がある」と知らせが入っていた。またソウルのもどって、韓国国防省は軌道追跡などから「成功に疑問」。武貞は日本の情報の遅れが気になる。「米韓は発射をキャッチする必要がある。日本は破片が落ちて来た時の対応だから違いになった」と解説している。

   8時20分、岸田「もう(日本は)通過した?」。武貞は「と、見ていいでしょう」といいながら、「どこまで追跡しているか。失敗した可能性も残っている」

   CMをはさんで8時23分には市ヶ谷の防衛省だ。しかし、女性記者は「発射したかどうかは入っていない」。後ろにPAC3と満開のサクラが写っていた。今度はピョンヤンだ。原田敦史記者が「ホテルのプレスセンターの当局者に聞いたがわからないと」

   8時25分、ようやく田中防衛相が「午前7時40分、何らかの飛翔体が打ち上げられ、1分以上飛翔したのち海上に落下した」と発表した。なーんだ、失敗か。武貞が「06年の時は45秒間で爆発したが、あれを思い出す」

1時間後に官房長官会見「影響ない。平静に」

   ようやくスタジオにもどった。司会の加藤浩次が「日本政府が確認したのが発射から45分から50分かかっている。アメリカから情報が入ったらイージス艦、PAC3が準備に入らないといけないのに、発射がわかってなかったのかな」

   八代英輝(弁護士)「わからないはずはない。国民に伝わってないということ」

   8時30分にまたピョンヤンの原田「情報はありません。ピョンヤンは快晴、無風です」

   キャスターのテリー伊藤が「本来なら、きょう(13日) の人民代表大会で成功の話を発表するはずだった」と話し出す。金正恩が国防委員長になるはずだったが、祝いの花火は落ちてしまった。

   テリー「何時何分にどうなったとわからないものか」

   武貞「監視体制・能力がわかってしまうので、国防上かなり微妙だ」

   テリー「でも韓国は発表している。沖縄の人は不安だった」

   武貞「飛翔を続けて沖縄に近づいたら伝える必要はあるが、1分で姿を消した」

   8時37分に藤村官房長官がようやく会見したが、内容は防衛相と同じ。日本への影響はないと、 国民に「平静」を呼びかけた。なんだか、福島第一原発事故のときに聞いた官房長官発言とそっくりだ。その後も武貞は、銀河3号なのか、東倉里だったのかと疑問を投げ続けたが、41分に岸田「防衛省の発表ですが、発射後、数個に分かれた模様だということです」。ここでようやく武貞も「失敗ですね。日米韓の情報は一致していた」

   テリー「しかし北は絶対に失敗とはいわない。平気で発射の時の映像を流すでしょう」

   9時になってワシントンから、青山和弘記者が「米政府は分析を急いでいる。あすにも安保理決議違反だという流れになる。また失敗が北の国内にどう影響するか、金正恩体制の行方も注目だ」

   このあと9時7分までああだこうだと続いたが、とうとう京都の暴走車はもどってこなかった。