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大飯原発となり町説明会「参加者も時間も制限して『再稼働ありき』」

「どうしたら安全を守れるのかではなく、どうしたら再稼働できるのかという説明にしか聞こえない」

   会場から激しい罵声が飛んだ。関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐり、原発と海をはさんで向かい合う福井県小浜市できのう1日(2012年5月)、原子力安全・保安院による住民説明会が開かれた。

   井上貴博リポーターは「大飯原発から半径10キロメートル圏内には小浜市の住民の約半数1万6000人が生活しています。原発立地市町村に隣接した準立地自治体の市町村に、国が原発の再稼働の必要性や安全性などを説明するのはこれが初めてです」と伝えた。

イギリスでは350日も公聴会

   説明会場に入場する参加者は警備員や県の関係者に一人ひとりチェックされ、「説明会となっていましたが、参加できるのは小浜市議や区長、市長、団体関係者などの限られた人で、参加したいという一般の人がすべて参加することはできませんでした」(井上)

   それでも、国の説明を受け質疑応答に入ると、「放射性廃棄物をどう処理するのか」という質問に、担当者が「日本では処分場はまだ決まっていない」と答えると、会場からは「決まってから動かしたらどうですか」とやじが飛んだ。説明会の時間制限を設けようとする担当者に、原子力発電に反対する福井県民会議の中嶌哲演住職が「どうして時間を長くとれないのですか。イギリスでは大飯原発と同クラスの原発を1基作るのに350日も公聴会を開いている。原発の危険性から守ってもらうのは小浜市民です」と迫った。

担当者まるで他人事「住民に理解されたか判断しない」

   みのもんた「説明会の担当者は原発の近隣に住んでいない。本当に安全というなら住んでみればいい」

   説明会後に「(住民の)理解を得られたと思うか」と聞かれた担当者は、「そういうことを私たちは評価すべき立場にない」とまるで他人事だ。コメンテーターの片山善博(前総務相)は「小浜市は食で町作りを進めている。その分、原発の危険性には敏感にならざるを得ませんよ。形だけの説明会で物事を前に進めていくのは難しい」と話す。野田政権にとって、消費増税より原発再稼働強行の方が致命傷になりそうだ。