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野田首相「踏み絵」谷垣取るか輿石取るか―出口見えず会期超長期延長

   「けさの顔」コーナーで取り上げたのは野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一自民党総裁だ。変わり映えしない顔だが、きょう17日(2012年5月)から実質審議が始まる、消費税増税法案を含む社会保障と税の一体改革関連法案の帰趨は、この2人が握っている。

民自党首会談拒否され「取り付く島なし」

   消費税増税に政治生命をかける野田が頼りにするのは与党の民主党ではなく、野党の自民党だ。自民党が賛成してくれなくては、衆議院は通っても参議院で可決しないからだ。そこで、実質審議を前に、自民党に協力を求めるべく首相周辺が自民党側に党首会談の打診をしたが、拒否されたという。

   野田、谷垣会談を打診したのは藤村修官房長官といわれる。相手は大島理森副総裁で4月下旬のことだ。自民党側は会談実現に必要な環境が整っていないとつれなかった。環境が整うとは、問責決議を受けた田中直紀防衛大臣と前田武志国土交通大臣を辞任させることだが、これには輿石東民主党幹事長が抵抗している。輿石は最近、衆参ダブル選挙が望ましいと発言するなど、自民党が求める早期の解散に否定的な発言を繰り返している。自民党にすれば、野田が輿石を説得できるかどうかを見極めたいという思いがある。わが党を取るのか、輿石をとるのか、踏み絵を突き付けているわけだ。

会期末までの衆議院採決も困難

   司会役のアナウンサー井上貴博が「(野田が)いちばん大切にしている相手といえば、やはり自民党なのでしょうか」と、コメンテーターの北川正恭(早稲田大学大学院教授)に聞いた。

   北川「それはもう。ウエイトからすればそういうこと。参議院をどう通すかが決まらなければ消費税増税は語れない。野田さんは民主党の反対グループと自民党の双方とで、政局ではなしに政策で話をつけるしか道がない」

   金井辰樹(東京新聞・中日新聞政治部次長)も「仲間より敵がなぜ大事かというと、小沢一郎元民主党代表と手を携えても参議院で多数が取れるわけではないからです。自民党と手を組めば参議院で多数を取れる」と解説する。

   では、2大臣の交代はあるのか。金井は「うーん、考えどころだ」と明言を避けた。今国会の会期は6月21日まで。今後の見通しについて、「会期末までに参議院はもちろん、衆議院での採決も難しいのではないか。成立させるとなると、ものすごく長期の会期延長をして、その間に丁寧な議論をすることが必要だろう」という。

   節電で暑い夏が、それにもまして長丁場の熱い夏になりそうだ。