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オウム菊地直子「櫻井千鶴子の偽名」で介護ヘルパー2級

   特別手配されていた元オウム真理教信徒の菊地直子容疑者(40)の17年間にわたる逃避行に終止符がうたれた。菊地発見のきっかけは3日午前(2012年6月)、東京・桜田門の警視庁本庁を訪れた男性が「菊地に似た女が男と神奈川県相模原市の1戸建てに住んでいる」と情報提供したことからだった。

   その日の午後8時ごろ、菊地がトレナーにジーンズ姿でコンビニの袋を持って帰宅したところを、張り込んでいた捜査員が「菊地か」と問いただすと「ハイ」と答えたという。

   同居していた男もこの家から20キロほど離れた神奈川県警大和署に出頭した。男は自称、内装業の高橋寛人容疑者(41)で、犯人蔵匿容疑で逮捕された。2人は6年前に横浜市内の仕事場で出会い、高橋から執拗に結婚を迫られた菊地が拒む理由に窮し本名を告白したらしい。

週1~2回の仕事「控えめで評判いい人」

   菊地と高橋は町田市内で4年ばかり同棲した後、2年前から相模原市内の1戸建てに住み始めた。この建物は近くの土木工事会社の所有で、以前は物置だったのを貸家に改造したという。錆で変色したトタン張りの粗末な木造住宅で、1階にトイレ、風呂が併設された12畳ほどの部屋がある。

   菊池は2010年7月、知人を介してこの土木工事会社内に事務所がある介護会社に「櫻井千鶴子」の偽名で入社した。当初は経理担当の仕事をしていたが、その後、介護ヘルパー2級の資格を取り週に1~2回ヘルパーの仕事をしていた。控えめで評判はよかったという。

   なぜヘルパーの資格も取り、控えめとはいえ普通に生活できたのか。オウム問題に詳しいジャーナリストの江川紹子さんは「無防備な生活をしていたのは、自分から出頭する踏ん切りがつかなくて、『捕まった時はその時』という覚悟があったのだろう」という。

   眞鍋かをり(タレント)「大胆ですよね。それで捕まったら仕方がないという気持ちだったのかもしれない」

近所の男性証言「警察に通報したけど相手にしてもらえなかった」

   菊地の覚悟を決めたような無防備さが、かえって周囲に不審を抱かせなかったのかもしれない。ただ、次のような男性の証言もある。

「近所のスーパーにある銀行ATMで、菊地容疑者の手配写真を見ていた母親が、ぱっと見たらめちゃ似ていた人がいて鳥肌が立ったという。母親はそのことを警察に言ったらしいんですけど、電話では相手にしてもらえなかった」

   江川もこんな話をした。「他にもあります。警察に出頭した本人が名乗っているにもかかわらず、信用されず、貼ってあったポスターを指して『これが僕です』と言ってようやく逮捕されたケースもあった。手配のポスターを貼っても、警察の対応がこれだと捕まりなせんよね。これだけ時間がかかったのには、こうした背景があるのかなと感じる」

   逃避行の全貌はこれからの取り調べで明らかになるだろう。「オウムの闇」の部分について、江川はこう注文をつけた。「秘密を知っているとは思えませんが、すでにオウムを知らない高校生や大学生がいますから、どうしてこういうところに巻き込まれていったのかということを含めて、今までの自分を整理してきちんと出して欲しい」