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国会事故調「福島は人災。地震・津波指摘されながら対策先送り。専門家慢心」

   東電福島第一原発の事故に関する国会事故調査委員会(黒川清委員長)がきのう5日(2012年7月)、衆参両院議長に最終報告書を提出した。6か月間、延べ1167人、900時間に及ぶ聞き取りの結果で、641ページ。事故を「自然災害」ではなく、「明らかな人災」と断じている。

黒川清委員長「事故もあり天災もあることを知りながら、何もしなかった」

   「人災」としたポイントは、何度も見直す機会があったのに、東電が地震・津波対策を先送りしたことだった。とくに、規制する側の保安院が、規制される側の東電に事実上支配されるという「逆転関係」を「虜」と表現、監視・監督機能が崩壊していたと指摘した。また、首相官邸が直接現場に指揮・命令を出したことが、現場の混乱を招いたと、菅前首相の言動に言及している。

   報告書はこのほか、東電が否定している「地震による機器の損傷」を「ないとはいえない」とした。「官邸が果たすべき役割の認識」「官邸、規制当局の危機管理意識の低さ」を指摘し、「国会に常設委の設置」「危機管理体制の見直し」 など7項目を提言している。

   黒川委員長がスタジオに出演した。司会のみのもんたが「わかりやすいですね」と、「福島原子力発電所事故は終わっていない」という書き出し部分を読んでみせた。そして「人災ですか?」

   黒川「そうですね。委員全員が一致してます。事故もあり天災もあることを知りながら、何もしなかった」

   与良正男(毎日新聞論説委員)「逆転関係をいってますね」

   黒川「規制の罠といか虜というか。電力の側に技術力があると、規制する側が頼ってしまう」

報告書の要約版ネット公開「国民がぜひ読んで欲しい」

   尾崎弘之(東京工科大教授)「その力関係はこれからも変わらないと思うが…」

   黒川「スリーマイル島でもそういうことがあったらしい。30年かかって対立しながら監視し合うという形になっている。不断の努力が必要ですよ」

   みの「菅さんが現地へ乗込んだのは混乱を招いた?」

   黒川「官邸が出てきて、それならと東電は責任放棄になった」

   当の菅は報告書に対して、「人災というのは私の認識と一致するが、いくつかの点で私の理解とは異なる」とコメントを出した。黒川氏は「報告書は要約版もあるしネットでも読めるので、両者の言い分を見てほしい」と言う。

   尾崎「安全保障と同じような体制でないといけないのではないか」

   黒川「これ、有事を想定してない」

   みの「想定外といってる」

   黒川「世界の地震の20%は日本で起こっている。起こったら相当なことになるのに、エリートが自信を持ち慢心になった」

   与良「地震で機器が壊れたというのはないのでしょうか」

   黒川「まだ中へ入れないが、はじめからないというのは非科学的ですよ」

   委員会はすべて公開で、英語の訳もついて公開されている。黒川氏は東電、保安院、閣僚がどういう考え、どういう姿勢かがわかるので読んでほしいという。「世界中が見ていて、それが信用になる」