J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「いじめにあったら逃げろ。学校に行かなくてもいい」(元中学校長・藤原和博)

   大津市でいじめを苦に自殺したと見られる中2男子(13)の父親がきのう18日(2012年7月)、同級生3人を大津署に刑事告訴した。罪状は、生徒のアンケートや聞き取りから得られた内容から、暴行、恐喝、強要、器物損壊、脅迫、窃盗の6つ。身体への暴力から金銭巻上げまでを含む。父親は「事実が解明され、少年がしっかり更生してくれることを期待しています」とコメントを出し、必ずしも少年たちの処分は望んでいないという。しかし、3人は民事裁判では依然として「いじめではなく遊びだ」といい、いじめの意識すらない子もいるという。

大津・加害3生徒を刑事告訴―難しい少年からの事情聴取

   大津署は昨年(2011年)暮れ、父親からの「被害届」を3回 にわたって受け取りを拒否したが、今回は受理した。この件ではすでに滋賀県警が強制捜査に踏み切っており、告訴は2度手間になるが、父親は「息子のためにできることは全部やりたかった」と話している。

   元検事の若狭勝(弁護士)は「被害届はただの申告だが、告訴は処分を求めるもの。今回は6つだったが、他に自殺教唆罪もある。自殺を決意させた罪。これでもできたんではないか」 という。ただ、少年からの聴取というのは非常に難しく、長い時間がかかると見る。

「先生・教委が動かなかったら、市会議員を使え」

   少年が自殺してから9か月になるが、これがにわかに注目されたのは事故後のアンケートの中に、「自殺の練習をさせられていた」というのがあったと新聞で伝えられてから。大津市教委と学校が事実を隠蔽していたと大騒ぎになった。学校も教委も当初は「いじめはなかった」、次いで「あった」が自殺との因果関係 は否定」、今週になってようやく「いじめは自殺の要因の一つ」というところまできた。それでも澤村憲次教育長は「家庭の中でどんな環境にあったのか」とおかしな発言を続けている。

   杉並区の中学校長を務めた藤原和博氏は「生徒たちが心配だ」という。学校と保護者と地域がリンクしてみんなで育てようという試みが注目された。藤原は「教師と生徒、親子というのは近いけれど、わからないことがある。いじめも巧妙になっている。まずはいじめが犯罪であるという意識をもたせること」と話し、授業でも各地の事例をもとに教えるべきだという。

   金井辰樹(東京新聞政治部記者)「こんなひどいのはともかく、いじめは昔からあるのが当たり前で、それを隠す話ではない。隠したことのペナルティーは大きくしないと」

   小松成美(ノンフィクション作家)「いじめられる子はどうしたらいいんですか」

   藤原「逃げろといいます。学校へ来なくてもいいと。親御さんにいいたい。学校や教委が動かなかったら市議会議員にいうこと。市議が動くと教委は答えざるを得ない。今回の件は教育の敗退。全部先生が明らかにしてほしかった。 地域社会と一緒に動かないといけない」