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内村航平「ビデオ再判定」で日本「銀」―繰り下げ「銅」でも英国観衆は紳士

   ロンドン五輪では審判の判定が何かと話題になる。男子柔道66キロ級準々決勝で日本の海老沼匡選手対韓国選手の判定が覆り、海老沼選手が勝ちとなったが、日本の期待の高かった体操の団体総合でも1度出た決定がひっくり返った。

   日本は銀メダルを獲得したが、天国と地獄を往復するような波乱の結末だった。

「あん馬」フィニッシュめぐり得点修正

   団体総合決勝で最後の競技となったあん馬、選手はエース内村航平だ。日本はここまで中国に次いで2位につけていた。予選では落下したが、内村の実力からすればメダルはほぼ確実と見られていた。ところが、着地に失敗した。

   会場で観戦していた司会の小倉智昭は、「内村選手があん馬に入る前、隣のマットでイギリスの選手が床運動をやっていて、会場はものすごい大歓声。なかなかスタートが切れなかった」と報告する。たしかに、内村は何度も手をぬぐうなどスタートするタイミングを推し量っているようだった。そのことが影響したのかどうかはわからないが、フィニッシュが決まらず、内村の得点は13・466点。

   この結果、日本の得点は271・252点となり、イギリスの271・711点、ウクライナの271・526点を下回り4位となった。テレビ中継のアナウンサーは「日本、メダルを逃した!」と絶叫した。ロンドンの小倉智昭に代わって東京のスタジオで司会を務めるアナウンサーの笠井信輔は、「これを聞いてすぐ寝ました」

帰り際に「おめでとう」!イギリスの体操団体メダル100年ぶり

   ところが、ドラマはまだ終わっていなかった。日本チームは内村の得点について猛抗議し、審判団はビデオを見ながら再審議を決める。その10分後、抗議が認められて内村の得点は14・166点になり、日本の得点は271・952点にアップ、最終的にイギリスを抜いて銀メダルとなった。

   結果が覆ったあとのイギリスの観客について、小倉は「イギリスの皆さんは紳士的でした。帰りにはおめでとうといってくれました。日本の力をよくご存知で、きょうはどうしたのといった感じで見ていたんだと思います」という。

   国際ジャーナリストの竹田圭吾「これが逆の立場だったらどうだったか。複雑ですね」

   笠井「ロンドンでは技術の進歩と審判の目とのせめぎ合いが続いています」

   判定にどう異議を唱え、最終結果をどう受け入れるか、ここでも国柄が試されている。イギリスの体操団体のメダルは実に100年ぶりだという。