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尖閣上陸船で香港テレビ中継「巡視船ぶつかってきた。レンガ投げて応戦」

   終戦記念日の8月15日(2012年)は騒々しい1日となった。香港の活動家の漁船が尖閣諸島の魚釣島に接岸して7人が不法に上陸、計14人が逮捕された。韓国では若者が遠泳リレーで竹島に上陸するパフォーマンス。李明博大統領は光復節の演説で従軍慰安婦問題で日本政府を非難した。

石原都知事「確信犯だからちゃんと裁判やった方がいい」

   尖閣諸島の所有権を主張する活動家団体の船は、8月12日に香港を出港し、15日午後4時前に日本の領海に入った。船は海上保安庁の巡視船の警告を無視して、巡視船を押しのけて5時半ごろ島に着き、7人が海に飛び込んで上陸した。うち2人は船に戻ったが、5人は待ち構えていた沖縄県警の警察官らに逮捕された。上陸した5人は「自国領土にパスポートは必要ない」などと主張して中国と台湾の国旗を掲げたが、ただちに没収された。また、船にいた9人も逮捕され、5人が16日朝、残りは夕刻までに那覇に連行される。

   「モーニングバード!」は船と連絡をとっていた香港の団体と接触したが、「古来から中国の領土だ。家に帰るのと同じで理由はない」という。船からは香港のテレビ記者が「巡視船がぶつかってきたのでレンガを投げて応戦した」などと中継していた。ネットでも伝えられ、「軍隊は何をしている」「李明博大統領に学べ」など勇ましい書き込みがあった。

   この暴挙に石原東京都知事は「確信犯だからちゃんと裁判やった方がいい。野田首相が現地へ行けばいいんだよ」と話す。防衛評論家の武貞秀士氏は「中国政府が関係がないなんてありえない。警察と海上保安庁の連携の具合だって探れる」という。野田首相は「法令の則って粛々と処理する」といっているが、過去の不法入国の例から見て、送検せずに国外退去となる公算が強い。

韓国では李明博大統領「光復節」演説で日本非難

   李明博大統領の光復節のスピーチは30分で、うち日本への言及は1分半だった。「日本との過去に絡まった鎖が、日韓両国だけでなく北東アジアの未来に向かった歩みを遅らせている」「慰安婦被害問題は戦時に女性人権問題として人類の普遍的な価値と正しい歴史に反する行為だ」と日本政府に強く対応を求めた。

   先の竹島訪問強行といい、天皇への謝罪要求といい、これまで日本との協調路線をとっていた李の豹変には、日本政府も真意を測りかねている。武貞氏は「この日、竹島に言及しなかったのは、あれはもう終わりということ。戦略的な臭いがする」という。別の専門家は「李大統領は経済に強いといわれながら実績があがらず、実兄や側近が汚職で逮捕されるなどで、支持率は17%にまで落ちている。南北問題も進展せず、残り任期は半年。実績を残したいという意図から竹島訪問という『禁じ手』をとった」という。

   テレビ朝日ディレクターの玉川徹は、「領土問題は一番民族意識を刺激しますから、李大統領は愚かなことをしたなと思いますね。仲が悪くなって利益なんかない。いずれそれはわかることですが、中国の場合は武力衝突もあり得ると思って対応しないといけない野ではないでしょうか。ただし、冷静に。熱くなったら負け」

   司会の羽鳥慎一「冷静ではあっても、しっかり対応しないといけない」

   武貞氏は「漁民が大挙して上陸して、それが人民解放軍だったということもありうる」と物騒なことを言う。いや、本物の漁民であっても、相当なことにはなる。危機意識だけは強く持たないといけないだろう。中国政府がそこまでバカをやるか。問題はそこだ。