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ワンルーム購入9割が30、40代独身女性「結婚できなくなるは都市伝説です」当たり前だろ!バカ不動産屋め

   ここらで家を買ってみようかという気になった。今年(2012年)は3度目の賃貸契約更新がくる年だし、以前に取材した女性投資家が言っていたことが頭にこびりついて離れない。「女性のほうが不動産投資に向いている。買い物とかして土地勘が冴えていると思う。自分の資産形成のためにも、不動産を持っていた方がいいわよ」。このひと言から私の不動産への思いは高まった。

暮らしステップアップして、結婚後に売却すれば自分の資産

   近所でいくつかの新築マンションができるとの情報を得て、さっそくエントリー。モデルルームに足を踏み入れると、俄然テンションは上がった。値段には舌を巻いちゃうけれど、なにより新ピカの設備が「おいでおいで、これがあなたのものになるんだよ」と手招きしているように思えてくる。あ~、夢のような新しい暮らし。私も手に入れたい。そんな心がフワっと浮足立ったときに周りを見渡して驚いた。客は女性、女性、女性だ。モデルルームにいる客の9割が1人で来ている女性客で、残りが若い、おそらく35歳前後の夫婦だった。女性の不動産熱は高いと聞いてはいたけれど、ここまで彼女たちが真剣にマンション購入を検討しているとはちょっとした驚きである。

   不動産屋に聞いてみた。ワンルーム系の部屋を購入検討もしくは実際に購入しているのは9割が30代、40代の独身女性だという。やっぱり女は手堅く動く。男や仕事で騙されることはあっても、不動産はそこまで嘘をつかない。暮らしをステップアップさせたい。それに、結婚しても売却すれば自分の資産になる。鼻息荒く、マンション漁りをする女性が多いらしいのだ。

   ところが、そんな夢を一気に現実に引き戻すようなおせっかいな不動産屋さんがいた。「マンションを買っても、結婚できないってワケじゃないですから。あれ、都市伝説です」。思わず、バカかこいつは!と相手の顔をまじまじと見てしまった。それが客に対して言う言葉かい。もう絶対にこのマンションなんて買ってやるもんかと憤慨したが、なんだか足元見られた気もした。でも、実はこれが先方の戦略だったのかも知れないと気付いたのは、資産計画の段階になってからだった。

ローン審査に通らない我が稼業―先輩作家は妻名義で申し込み

   当方はしがないフリーランスの身である。おそらく、不動産屋はこの客に時間とられてもしょうがないな、早く諦めてくれないかなぁ、このオバサンとでも思ったのだろう。自由業は収入が不安定になりがちだから、ネックになってくるのがローン審査だ。会社員ならローンも組みやすいが、自由業となると大きな壁がいくつも立ちはだかる。

   次第に現実化してくるマンション購入に向けて、その過程の多さには辟易してた。通帳のコピーを提出し、全財産を証明し、手掛けた番組名も提出しなくてはならない。えっ、番組名で左右されることもあるの? 誰もが知っている番組を手掛けていれば審査が有利になるの? なんだか番組すら審査基準の天秤に計られている気持ちになってくる。不動産屋は「どのぐらい実績があるかをローン審査のために銀行側が知りたがっているだけ」と説明するが、なんだか腑に落ちずイヤ~な気持ちになってくる。

   そういえば、マンション購入や自宅を建てた先輩の作家は、看護師や会社員の妻の名義でローン審査をしたと聞いたことを思い出した。名義は妻、お金を出すのは夫。審査が通りやすいだけでなく、金利が決定的に違ってくるからだ。なんだかこうなると、自分の人生を否定されたような気分にすらなってきた。いったい自分はなんのために働いていたんだろう。一生懸命働いても、こうも人から信用されていない仕事だったのかと。私のチッポケな野心はこの面倒な手続きであっさりと折れてしまった。

   新築中古マンション探しに翻弄された夏が終わろうとしている。

モジョっこ