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申請すればほぼOK?文部官僚が仕切る大学新設・増部―大臣も審議会も形だけ

   田中真紀子文部科学相は3大学の新設を不認可ではなく未決と修正したが、大学関係者は納得していない。秋田公立美術工芸短大の樋田豊次郎学長は、「東北6県には4年制の美術大学がない。本格的に美術を学びたい学生は東京方面に出て行くしかなかった。これは地元にとって大きな損失です。それで4年制大学への移行を文科省が定めたルールに沿って申請しました。それがなぜ、不認可になったのか分からない」

開校1年前から審査はじめ半年で認可

   阿部祐二リポーターがこれまで文科省が定めたルールを説明した。「前々年度の3月に大学新設の申請が出されます。そして、前年度の4月から審査が始まり、10月に結論が出ます。ここで新設認可なら翌年4月から開校となります。今回問題になった3大学ともに、このルールに沿って申請してきたと話しています。不認可の撤回がなかったら訴訟も辞さない構えです」

   教育問題に詳しい菊池幸夫弁護士は「3大学ともに裁判で勝てる可能性があります。国が決めたルールに則って申請しています。それがいきなりダメというのはおかしい。裁量権乱用の疑いがある」という。

今回は時間ないが、新たな審査基準作ってもっと厳しく

   司会の加藤浩次「この3大学はこれからどうなりますか。そして、国が定めたルールはどう変わるのだろう」

   コメンテーターの宮崎哲弥(評論家)「たしかに田中大臣の大学の乱立は抑制したいという発言は正しい。でも、あと2か月間で新しい審査基準を作り、その審査基準に基づいて再審査するというのには無理がありますよ。今回の申請は認めて、それから時間をかけて新たな審査基準を作るべきですよ」

   キャスターのテリー伊藤「少子化が進み、学生の数は減っている。かつては200万人といわれていたのが、いまでは100万人。もうすぐ80万人まで減るといわれています。大学新設の新しい審査基準もさることながら、海外から多くの留学生が来てくれる魅力ある日本の大学作りに文科省は力をいれるべきですよ」

   現在、私立大学の半分近くが定員割れで、4割以上が赤字だ。向こう10年間で100校近くが消滅するという見方もある。それでも毎年十数校が認可されている。

   そもそも、申請の審査中に校舎を造り、教師を集めて学生も募集し、「もうお金かけちゃったから不認可なら訴える」というのは順序が逆じゃないのか。文部省の定めたルールに従ったというが、正確には文部官僚に言われた通りにやったのに…ということなのだろう。要するに、大学の新設・増設は文部官僚がルールを作り、文部官僚が人選した審議会でOKし、それを文科相が右から左でハンコを押すとが当たり前とされてきたということだ。文部官僚に何か利権がありそうだ。