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なぜ急いだ?アルジェリア「武装勢力急襲」政府方針無視して軍暴走

   アルジェリアの石油・天然ガス関連施設がイスラム系の武装勢力に襲撃され、日本人を含む多数の人質が取られた事件は、どうやらアルジェリア軍が人質「救出」作戦に出て、それが終了したことはたしからしいが、きのう17日の「とくダネ!」では、この事件は長引きそうだといった予想がされていた。

イスラム原理主義組織に激しい敵意

   笠井信輔アナは「わずか1日あまりで一斉攻撃。誰も考えなかったことだと思います」と言い、テロップには「アルジェリア軍が作戦強行」「なぜ強行」の文字が躍った。

   イスラム地域研究の第一人者という山内昌之・明治大学特任教授が語ったところによると、この作戦の背景のひとつにはアルジェリアの国内事情、軍部とイスラム主義の抗争の歴史があるという。1962年にフランスから独立したアルジェリアは紆余曲折を経て軍事独裁が続いた。しかし、90年代はじめに行われた議会選挙でイスラム原理主義勢力が多数派となり、民主的に権力を掌握した。ところが、軍部がクーデターを起こしてこの政権を転覆させた。

   その後は、過激化した一部のイスラム原理主義組織と軍との間で血みどろの内戦状態となり、10万人以上の死者が出ているという。こうした経緯から、軍はイスラム主義との妥協には断固反対の立場であり、今回の作戦についても「軍が政府の意志を反映していたかは疑問で、軍の判断基準で強行になった面があるのではないか」(山内)という。