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敦賀原発「活断層報告」で廃炉か、電力業界巻き返しで再稼働か

   国の原子力規制委員会の専門家会議は福井県の敦賀原発についての調査報告案で、「敦賀原発2号機の真下を走る断層は活断層である可能性が高い」と指摘した。規制委がこの報告書をもとに、最終的に「運転再開を認めない」と判断すれば廃炉に追い込まれる。

原子力規制委・専門家会議報告案は「廃炉」

   キャスターの国谷裕子「福島原発の事故を忘れてはならないという理念の下に、原子力規制委員会は去年9月(2012年)に発足しました。そして、原発の廃炉にもつながる重大な報告が初めて示されましたが、日本原電はその後も断層調査を続行していて、活断層ではないとして、あくまでも運転再開を目指しています」

   電力業界は「専門家会議の報告案には科学的根拠が示されていない」としているが、規制委員会調査団メンバーの一人である京都大学大学院・堤浩之准教授は「敦賀発電所ではD-1と呼ばれる断層とは別に敷地内に活断層があることが20年以上前から指摘されていました。それが浦底断層で、当時から多くの専門家が活断層だという見解で一致していました。ただ、浦底断層はD-1断層とは違い、原子炉の真下を通っていなかったために、直ちに運転停止とはならなかったのですが、今回はより安全に重点を置いた判断を行い、活断層の可能性が高いという評価を下しました」という。

廃炉費用どこが負担するのか、再生可能エネルギーで間に合うのか

   国谷「福島原発事故で何が変わったのでしょうか」

   福島原発事故独立検証委員会の北澤宏一委員長は、「政府が変わりつつあります。これまでよりも国民の安全に重きを置くようになってきました。それが原子力政策にも反映されつつあります」と話す。

   国谷「原発の運転再開を認めないとなれば、次には廃炉という問題が出て来ます。取り出された核燃料や汚染された廃棄物をどうするか。問題はまだまだ山積みなのではないでしょうか」

   北澤「国民の安全を優先することは重要です。しかし、その一方で廃炉にするための費用は誰が負担するのか。また、エネルギー政策でも原子力に代わるエネルギーをどうするのか。化学燃料や再生可能エネルギーを柱にすることにしても、時間がかかります。この先何十年もかかるでしょう」

   電力業界や経済界の働きかけを受けてか、安倍首相は「原発ゼロをゼロにする」と180度の方向転換を宣言した。これが「活断層と確定しない限り原発再稼働OK」という方向に逆戻りする心配は大いにある。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2013年2月4日放送「原発と活断層 規制委調査の波紋」)