J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「レーダー照射は艦長より上の判断だろう。軍の暴走ではない」(前防衛相)

   中国艦による照準レーダー照射問題が首相と防衛相へ報告されたのが6日も経ってからだったことがわかった。海上自衛隊の危機管理に問題ありだが、その答弁がまた奇妙だった。安倍首相は「19日(2013年1月)のヘリへの照射のときはただちに報告があったが、これが照射と確認できなかったために、(現場が)慎重になったのではないでしょうか。これからは未確認でも上げるようにした」と答弁した。確認に6日もかかっては対応ができない。おそらく19日の報告のとき「不確かな話を持ってくるな」くらいのことがあったのだろう。

中国側開き直り「日本が煽っている」「捜索用レーダーの故障」

   自民党の石破幹事長は「照射(ロックオン)は国際法上は反撃も許されるという考えもある」とただした。これに対し、小野寺防衛相は「国連憲章上は武力の威嚇にあたるのではないか」と答えた。

   前日は反応が鈍かった中国外務省もこれにはすぐに反応して、報道官は「日本側が煽って緊張を作り出し、中国の顔にドロを塗っている。関係改善に背くものだ」と開き直った。新聞も「首相訪米を前に中国の脅威を宣伝する巧妙なはかりごとだ」「捜索用レーダーの故障だ」などと書いている。

   照射された場所が日中中間線の日本側の公海上だったことも防衛相は明らかにした。こんなことは最初の発表段階ですっきりと出しておくべきものだろう。どうもドタバタしている。公表をめぐっては、外務省が相当に慌てたらしい。ただ、安倍は「何か問題がおこると全部止まってしまうのは間違っている。問題があるからこそ対話は続けるべきだ」と述べた。

日本の反応見ながら次のステップ虎視眈々

   スタジオの森本敏・前防衛相は「中国側は日本政府が尖閣を国有化してから徐々に行動をスケールアップしてきている。 長いプロセスになるでしょうね。安倍内閣は慎重に動いて、弱点を見せないようにしている」と話す。

   与良正男(毎日新聞論説委員)「民主党政権時代からレーダーの照射はあったという報道があるが…」

   森本「今回のような事例の報告は受けていない。公表が遅れたのは証拠を固めるのに時間をかけたのだろう。ちょっとかかりすぎにも思えますがね」

   与良「少なくとも防衛相にはただちに報告すべきでしょう」

   森本「でしょうね」

   司会のみのもんた「照射されたときにどうするかは決まってないのですか」

   森本「武力の威嚇かどうか。照射が違反だとはどこにも書いてない。しかし、普通はやらない。レーダーの照射は引き金に指をかけることだから」

   みのがイラクへの派兵の例を引いて、「隊員が身を守るのに、まず相手の頭上へ威嚇、次に足元へ威嚇、それでもだめなら撃つといった。その間に撃たれてしまうでしょ」

   森本「憲法からも、先には撃てない」

   みの「撃たれてから打ち返す?」

   森本「法的にはそういうこと。わが方の行動基準を考えないといけない」

   与良「ロックオンは(中国側の)どのあたりの判断なのですか」

   森本「艦長より上でしょうから、軍(現場)の暴走とは思わない。ただ、やることが粗野ですから気をつけないといけない」

   与良「粗野だし、偶然を期待しているのではないか」

   森本「いや、日本の反応を見ながら次のステップを考えてると思う」

   となると、ロックオンも北京が見ていたことになる。今後どんな動きになるのか目が放せない。