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パソコン遠隔操作犯のしくじり「ネコの首輪」―現実世界に出没して御用

   先週末の最大のニュースは、パソコン遠隔操作の真犯人の逮捕だった。ネットの追及では追いきれなかったものが、ネコと防犯カメラという現実世界から足がついた。逮捕された男は「身に覚えはない」といっている。警察のシナリオに抜け落ちはないのか。

防犯カメラに首輪付ける映像とバイク

   逮捕されたIT関連会社社員の片山祐輔容疑者(30)は、イベントや学校行事で「殺人・爆破予告」などで威力業務妨害に問われている。今年(2013年)の正月、メディアなどに「江ノ島のネコの首輪に遠隔操作ウイルスが記録されたメモリチップがある」とメールがあり、通告通りのネコと記憶媒体が見つかった。このネコに近寄る姿と立ち去るバイクの防犯カメラ映像から片山が浮かび、遠隔操作された愛知県内のパソコンからみつかったウイルスとネコのチップのウイルスが同一とわかって逮捕に踏み切ったという。

   直接の容疑は「2ちゃんねる」に「コミケで大量殺人」という書き込みをした疑い。昨年8月9日午前10時40分ころ、東京・港区内の派遣先のPCを使って愛知県の会社のPCを乗っ取り書き込んだ。片山が使ったPCには、匿名化ソフト「Tor(トーア)」を複数回使った形跡が残っていた。警視庁は「殺人」「爆破」など一連の書き込みの大半がこの会社のPCから行われたと見ている。

   ネコに首輪をつけたのは1月3日とみられるが、真犯人からのメールにはこの首輪が「1月4日付の新聞」の上に置かれた写真が添付されていた。「朝ズバッ!」は「警察は捜査をかく乱するために日付を偽装したとみている」と伝えた。どういうことなのだろう。4日付の新聞の上に乗せたのは別の首輪ということなのか。

   片山は逮捕の2日前、都内のネコカフェでネコを抱いていた。このカフェを訪れるようになったのは昨年の夏ころからで、ネコを眺めたり触ったりして暗い感じ だったという。ネコ好きが江ノ島のネコにつながり、逮捕につながったことになる。現実世界の、とりわけ防犯カメラが思ったより高性能だったのが片山には想定外だったか。

アメリカ海軍が開発した匿名化ソフト「Tor」

   司会のみのもんたが「どういう危険があるんですか。iPadとかPCとか、たいしたものは入ってないんですが…」とネットセキュリティー会社「ネットエージェント」の杉浦隆幸社長に匿名化ソフトなどの仕組みを聞く。

   杉浦「一般の人でも住所録とかスケジュールとかを盗まれる可能性があります」

   みの「ガールフレンドの住所とか?」

   杉浦「あります」

   みの「エッ!」

   逮捕の決め手のひとつが遠隔操作ウイルスが同じだったというのがある。みのは「ウイルスって何なの」とあえて聞いた。杉浦社長は「悪さをするソフトです。遠くから他人のPCを操ることができるんです」と説明する。杉浦によると、「Tor」というのはIPアドレスを隠すための暗号化ソフトで、アメリカ海軍が開発にかかわったという。これを使って複数のサー バーを経由すると、本当の発信者をわからなくできる。いま「サイバー攻撃」といわれているものや、アメリカの諜報機関などは似たようなものを使っているらしい。

   杉浦「Torを通じた追及は無理でしょうね。今回はネコからみつかってよかった」真犯人がネコの首輪にデータを取り付けなければ、ずっとわからないところだったわけだ。今回逮捕につながった「同じものだった」というのも、大丈夫かね。