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フラッシュモブどこで見られるの?街中で珍妙奇妙な集団パフォーマンス

   「世界が熱狂するフラッシュモブ」。これが今回の放送タイトルである。「クローズアップ現代」でフラッシュモブを取り上げるというのにはオドロいたし、「世界が熱狂!」とは、またJ-CASTニュースの見出しくらい大げさに感じられた。個人的には興味深く見たが、この放送に「熱狂」した視聴者がどれくらいいたのか、じつに心配ではある。

東京・渋谷でケータイ代わりにバナナの集団やアフロヘア集団

   フラッシュモブとは、直訳すれば「瞬間的な(突然の)群衆」といったほどの意味である。番組の定義によれば、「突然集まった群衆が、公共の場所で、一見、意味の分からない行動を行い、数分後には何事もなかったかのように立ち去る」ことである。やたらと「一見、意味のわからない行動を取る」ことにこだわっていたが、要は、とにかく(ネットなどを通じて)集まった人たちが公共の場で、突然、突発的に何らかのパフォーマンスをして、その後、何事もなかったかのように立ち去る――といったことである。

   たとえば、街中にいた人たちが突然ダンスをはじめる、音楽演奏をはじめる、枕の叩き合いをする。混雑した駅を歩いていた人たちが突然、動きを停止する。パンツ一丁で電車に乗るなどである。

   フラッシュモブはたしかに世界的にわりと流行しているとは言えるだろう。日本でもフラッシュモブが行われるようになってきているそうで、東京・渋谷の駅前でケータイのかわりにバナナを持つ、多数がアフロヘアで集まるなどのフラッシュモブが見られたという。

   番組では指摘されていなかったが、こうしたフラッシュモブの流行には、動画撮影の易化や、YouTube(ユーチューブ)などのネット動画サイトの隆盛が大きく寄与しているはずである。

空間の秩序を一瞬で変えてしまう達成感や一体感

   ときにただのバカげた遊びと見られるフラッシュモブを、NHKが取り上げた意味とは何だったのか。番組がもっぱらご執心(スタジオゲストの選択も含めて)だったのは、フラッシュモブ参加者の意識や効用、無意味さのなかにじつはある(かもしれない)意味、社会的なコンテクストの読み解きといったことであった。

   フラッシュモブに詳しいというゲストの伊藤昌亮・愛知淑徳大学准教授は、「(参加者が)肩書や名前を捨てて、それまでつながりのないところでつながって、空間の秩序を作り変えてしまう。そこに達成感とか一体感があるんじゃないか」などと話していた。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2013年4月9日放送「世界が熱狂するフラッシュモブ~新しい『群衆』の力~」)