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「四川地震」カップ麺しかないのに外国支援いらない―中国政府は何を隠したいのか

   M7.0を記録した四川地震が発生から4日目に入った。これまでのところ、死者192人、けが人1万1470人。しかし、倒壊した建物に閉じ込められている人は多いと見られ、人民解放軍を中心に救出作業が続けられている。

   渓谷沿いの道路はいたるところで崖崩れで寸断され、余震による崩落の危険から岩石、がれきの除去もはかどらない。救急車両、物資輸送のトラックが延々と列を作って道路の開通を待つ状態だ。

   生存率が下がるといわれる72時間を前に、人も入れず、救出した人も病院へ運べない状態が続く。しかし、中国政府は日本はじめ各国からの救援の申し出を「医療も物資も足りている」とすべて断っている。

習近平体制アピール!李克強首相の視察を連日報道

   倒壊家屋は5万棟といわれる。震源に近い蘆山県・龍門郷の被害はとくにひどい。余震の恐怖から家にも入れず、みなテント生活だ。そのすぐ隣の政府の建物はまったく無傷だったりする。死者・不明約8万7000人を出した2008年の四川大地震のときは、手抜き工事の学校などが倒壊して非難を浴びた。その後、耐震工事は進んだとされていたが、公的資金投入からもれた古い建物はそのままだったという。

   取材の外国メディアに人民解放軍がメディアツアーを組織して、医療現場や炊き出しなど救助活動を見せた。中国メディアは現地入りした李克強首相の動静を連日報道している。中国情勢に詳しいジャーナリストの富坂聡氏は「習近平体制のアピールだ」という。

   現地にはテレビ朝日の青木俊憲記者が入っていた。道が開通したというので行ってみると、余震で再び崩れて通れなかったり、一部地区にはヘリコプターで物資を運んだりしているという。また、建物も一般の家屋はレンガと木の組み合わせなので、ひとたまりもなかったという。

山間地多く陸路で物資届かない

   防災システム研究所の山村武彦氏は5年前に現地に入っていた。そのときと比べると、今回は初動対応は早かったという。医療、防災で3万人態勢をとった。李首相も5時間後には現地に入った。ただ、被災は山間地が多いので、陸路で入り難い、物資を届け難い場所なので難航しているという。

   「救援態勢も、習体制の対応をどう見せるかになっているように見える」という。外国の支援を断っていることについては、地震の規模が前回より小さく狭い地域に被害が集中しているので、外国を呼び込むのがむすかしいのはわかるという。

   舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)「援助を断るのは愚かだなあと思うが、日本の原発事故の時も同じだった。最初が肝心だというのに断った。政治家というのは特殊な人たちだなと思いますね」

   被災者は「きのうからカップラーメンだけ」と文句をいっていた。届いてはいるということらしい。