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東海村「30人被曝」換気扇で放射能放出!知らぬ地元は運動会や野外イベント

   茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の実験施設で放射性物質が漏れ、30人が被ばくしていることがわかった。呆れたことに、事故のあとも2度にわたって警報を止めて研究を再開し、国や県に通報したのは1日半も経ってからだった。

   この施設は「J-PARC」と呼ばれている。陽子を光速近くまで加速させて金に照射すると放射性物質が生ずるが、通常は微量で外に漏れることはない。ところが、このときは通常の400倍もの放射性物質が発生し、カバーのコンクリートを突き抜けて施設内を汚染してしまった。

警報器鳴ったのに止めて作業続行。通報は1日半後

   事故があったのは23日(2013年5月)の正午頃だった。放射性物質の上昇を示す警報が鳴ったが、研究者たちは警報を止めそのまま実験を続けた。この警報は1日に10回くらい鳴るのだという。建物内の濃度が通常の10倍を示したため換気扇を回して空気を室外に逃し、数値が下がったのでそのまま研究を続けた。その後、4時になって数値の再上昇が確認され、ここでやっと施設の運転を停止し、汚染が確認されたため立ち入り禁止とした。これを事故と判断して報告したのは、さらに1日以上たった翌24日夜だった。事故当時は55人が施設にいたが、だれも放射線量の測定もせず、そのまま帰宅していた。

   研究者は換気扇について「家庭用の感覚でした。フィルターはついてない」と説明し、外へ逃した汚染された空気の行方には無頓着に見えた。施設と一般住宅は600メートルしか離れていない。事故を知らされなかった地元では、週末に運動会や屋外イベントも行われた。

もんじゅ1万点点検漏れ「反省文書」公表した翌日

   原子力研究開発機構機構は高速増殖炉「もんじゅ」で約1万点の点検漏れが発覚して、「こういう組織が存続していること事態が問題だ」と原子力規制委が運転準備中止命令を出して、鈴木理事長が17日に辞任したばかりだ。

   石原良純(タレント)「重要な研究をしてるんでしょうけど、こんなことで大丈夫なのかと思いますよね」

   現場で取材したテレビ朝日社会部の松井康真記者は「警報に慣れてるもんだから鳴ってもすぐ止める。数値が上がってもじゃあファンを回せといった調子だったわけです。この施設は放射性物質は漏れないとみんなが思っていたし、何が起こったかわからなかったと話しています」と報告した。何が起こったかわからなかったではなく、何が起こったかを調べようともしなかったということだろう。

   松井はこれらの人たちが、福島原発の除染対策などの基礎研究のトップ専門家と組織なのだという。「その方々がこの意識というのは困ったこと」という。「もんじゅ」についても点検を怠ったことに「弁明しません。機構の総力をあげて改善に努めます」という文書を出していた。それが22日で、 事故は23日だった。

   青木理(ジャーナリスト)「これここだけじゃないんですよね。日本原電でも敦賀の2号機が活断層だとなったとき、個別に専門家に抗議文を送っている。この傲慢さ、勘違い、原子力ムラの体質は変わっていない」