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福島・浪江町「原発事故の慰謝料増額」1万人集団申し立て―月10万円を35万円に

   福島第1原発のお膝元、浪江町はきのう29日(2013年5月)、原発事故による慰謝料の見直しを求めて原子力損害賠償紛争解決センターに和解の仲介を申し立てた。町民約2万1000人の過半数1万1602人が参加しており、集団申し立てでは過去最大、自治体が代理人となるのは初めてである。

馬場町長「怒り、悔しさ、将来への不安がこの数字に現れているんです」

   慰謝料は事故による精神的苦痛に対して東京電力が住民1人月額10万円を出しているが、町はこれを35万円に増やすよう求めた。10万円は自賠責保険をもとに算出されているが、町は避難やコミュニティーの崩壊など被害実態が考慮されていないとしている。

   記者会見した馬場有町長は「町民の半数以上が集まったのは怒りですよ。怒り、悔しさ、将来に対する不安。もろもろの感情が出た同意書がこの数字になった」と話す。町民はまだ全員が町外で避難生活をしていて、帰還のメドも立たない。申し入れには「事故前の放射線量まで下げること」というのも入っていた。この申し入れは弁護士の依頼や文書作成など面倒なものだが、町は代理人としてこれをまとめる。人数が多いのはこのためもある。

   東京に避難している小野田廣治さん(84)・トキ子さん(78)夫妻は「これからどんな生活になるか想像もつかない。町長に感謝します」 という。別の参加者は「これを契機に別の自治体が立ち上がってくれればもっと良くなる」という。

自治体が代理人になってケチる東電・国に一矢

   司会の羽鳥慎一「自治体が代理人になるという初の試みです」

   玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「裁判するなんて思わなかった人たちがたくさんいる。代わりに自治体がというのはいいことだと思いますね。事故は天災じゃなくて人災。それで奪われたものがあれば、あがなわないといけない。でも、東電も国もケチろうとする。今回35万円というが、本当は50万円かも100万円かもしれませんよね。それを積上げたものこそ原発事故の被害額ですよ。国民も責任をとるべきです」

   これまで申し立てをした人は、福島県全体の避難者15万人のうちわずか1万2000人(去年12月まで)にすぎない。高齢者は制度があることも知らない人が多いという。

   松尾貴史(タレント)「自治体が代理人になるというのは正しい判断ですよ」

   高木美保(タレント)「国も東電もすくい上げる努力が足りないことを示していますよね。他のところで復興予算使われてるなんてニュース見ても、どこに思いをぶつけたいいかわからない。ひとつの光明です」