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変わり身早すぎないか「週刊現代」株投資さんざん煽っておいて一転「大暴落が来る!」

   <「暴落が起こった日はシカゴの先物市場も急落している。つまり地球の裏側から売りが仕掛けられたということです。株式市場は6割が外国人で占められていますから、彼らはマーケットの主導権を握っている。そして、外国人投資家は日本株を持っていることが、もはやハイリスクだと感じていたのです。

   その理由はアベノミクスを象徴する『3本の矢』のメッキが剥がれてきたということに尽きます。日本経済は1本目の金融緩和によって大幅な円安になりましたが、実態は政府による為替介入です。ところが、今度は国債が下落してるのに、為替は円高に触れ100円台に戻ってしまった。もう金融緩和が効かないと判断されたのです」(元SMBCフレンド証券投資情報部部長の中西文行氏)

   「暴落はもう二発、三発とあれば下げ局面に変わってしまいますが、月足で相場の流れを見ていると、去年からのなだらかな上昇曲線の中で少し落ちたというレベルです。5月一杯は1万4000円~1万6000円の間で動いてきましたが、チャートはまだ上向いている。ということは、もう一度、株価は年初来高値の1万5942円を目指し、さらには2007年2月26日につけた1万8300円に向けて上昇していくのではないかと考えています」(現役トレーダーの上山英徳氏)>

   これは5月23日に大暴落し、その後乱高下している株価について、『週刊新潮』が「株の売り時その根拠」を専門家8人に実名で証言させている特集に出てくるコメントである。真反対の見方が出てくるということは、誰も今回の株安の原因をはっきりわかっていないということだろう。

「間もなく3万円相場」記事信じて株買った読者もいるだろうに…

   きょう(2013年5月30日)の株式市場も全面安の展開で、安倍内閣の経済閣僚たちも大慌てである。だが、もっとあわてているのが『週刊現代』。株が上がる株が上がる株が上がるぞ~と囃し立ててきた週刊現代が180度転換して「大暴落から早く逃げよ」と巻頭特集を組んだ。驚くべき変わり身というしかない。

   もちろん週刊誌だから毀誉褒貶は日常茶飯事。驚くことではないのだろうが、それにしてもちょっと前まで3万円もあると煽っていたのにと思わざるをえない。

   この欄でも何度か書いたが、株高・円安誘導は安倍政権が有効な手を次々繰り出したからではない。アベノミクスという言葉と国民の期待感がマッチし、そうした空気が後押ししたに過ぎない。物価は上昇し、長期金利も上がり、アベノミクスの副作用が目に見えるかたちで出始めたところへ、アメリカや中国の不安材料が重なり、歴史的といってもいい大暴落へとつながったのであろう。

   週刊現代は「もう売るしかない」と小見出しをつけ、<結局、日本株はアベノミクスで上がっていたのではなく、米国の動向を受けていただけに過ぎない。「米国がくしゃみをすれば、日本が風邪を引く」という構図は21世紀になっても変わっていないのだ>と書いているが、おいおい、いまごろそんなことに気がついたのかと、こちらもビックリである。

   日本が欲しがるシェールガスについても、シェールガス会社による投機的なやり方が問題になっており、これを実行しているのが投資会社だから<「シェールガス革命はバブル以外のなんでもない」(MITのモリス・アデルマン名誉教授)>というのである。

   結びで週刊現代は<先般の暴落はまだ端緒にすぎない。株式市場のさらなる大暴落はすぐそこまできている>としているが、これまで週刊現代を読んで株を買ってきた読者は、この記事をどう読むのだろうか。

作家・渡辺淳一の苦言「橋下代表のような無知で身勝手な政治家なぜ生まれたのか」

   慰安婦発言で追い込まれた橋下徹大阪市長は5月27日(2013年)に「外国特派員協会」で会見をした。ニコニコ動画生中継を見ていたが、冒頭、神妙に沖縄の在米軍司令官にいった「風俗へいけ」発言を全面的に謝罪したためだろう、厳しい批判は出なかった。大戦中の慰安婦に対しても謝罪し、2度とこうしたことがあってはいけないといったが、河野談話にある、国家が関与して女性を強制的に慰安婦にしたというところは、今のところ明確な証拠はないから日韓双方での歴史的な検証が必要だと繰り返し述べた。

   だが、彼の発言の波紋は広がり続けている。予定していた訪米は中止になり、お膝元の市議会からは橋下市長の問責決議案が出され可決されそうである。橋下は可決された場合は、いったん辞職して出直し市長選を実施すると強がっているが、確実に少し前までの勢いは日に日に薄れていっている。

   各誌で取り扱っているが、ここでは週刊新潮の連載「あとの祭り」を書いている作家・渡辺淳一さんの言葉を紹介しよう。<「(中略)こういう非常識な政治家が生まれたのか。その根本原因はどこにあるのか。ここでもっとも問題になるのが、日本の学校が、太平洋戦争に負けた以降の戦後教育を、きちんとおこなってこなかったことである。

   なぜ、中国や朝鮮を侵略して、朝鮮を植民地にしたのか。そのうえで、これがアジア諸国に対して、いかなる横暴、略奪をくり返してきたのか。私はこの時期、子供ながら炭鉱町にいたので、いろいろきかされ、一部、それらしい情景を目撃している。

   さらにこれら日本軍の行為を批判し、抑圧しようとしたアメリカに、開戦の宣告もなく、卑劣な奇襲攻撃(真珠湾攻撃)をしかけたこと。

   こうして、太平洋戦争が始まった経緯などのほとんどは、学校では正確に教えられてこなかった。いや、教える気になれば、教えられたはずである。

   だが、それらは二十世紀初頭から敗戦にいたるまで、日本国が犯してきた屈辱的な部分である。それだけに、それらを日本の教師が子供たちに教えるには、あまりに辛く、悲しすぎた。

   かくして、日本の歴史のうち、古代の縄文、弥生などは熱心に教えるが、近代の明治、大正、昭和は曖昧に、ほとんど教えないのが常だった。

   これでは、橋下代表のような無知で身勝手な人が出てくるのも無理はない。とにかく日本人は近代日本のマイナスなるものには、すべて目を閉じ、蓋をしてきたことはまぎれもない事実である」>

   まさに橋下市長は「あとの祭り」である。

朝日新聞社員ネットにポコチン露出で摘発!「週刊文春」記事であわてて公表

   『週刊文春』が今度は朝日新聞社員の首をとった。朝日新聞の社員が自分の局部を写した画像をネット上に上げていて、警視庁生活安全部サイバー犯罪対策課に摘発されたというのである。これは「わいせつ物頒布などの罪」の改正に当たって追加された「わいせつ電磁的記録媒体陳列容疑」という罪だそうだ。

   週刊文春によると、<現在四十代前半のAは山形県出身。山形の県立高校から名古屋大学理学部に進み、同大大学院の工学研究科でエネルギー理工学を専攻。大学院時代にはプラズマに関する研究論文を複数発表するなど、『理系エリート』の順風満帆たる人生を歩んできた>そうである。いまは制作センターというところに勤務して妻子もいるという。

   これを取材している時点では、警視庁も朝日新聞もこの事件については一切公表していない。そのため、警視庁内では「朝日上層部とうちが取り引したのではないか」とも囁かれているそうである。別の捜査関係者は次のように明かしている。

<「実は、捜査員が令状をとる直前に、朝日上層部が生活安全部に属する捜査幹部のX氏に連絡を入れたという話があるのです。『全面的に捜査協力をするので、できれば広報発表は控えてほしい」と。結局、微罪ということもあり、X氏は了解したという。朝日ほどの大マスコミの社員の検挙となれば、当然のことながら警視総監も把握しています」>

   だが、X氏によると、発表しなかったのは警視庁の判断で、初犯で前科はないし、本人も反省しているからだという。ならば週刊文春もお情けがあってもいいのではと私は思うのだが、週刊文春は世の不正はどんなものでも許せないようである。真向から竹割り。こう結んでいる。

<増加傾向のネット犯罪に警鐘を鳴らすのが、本来の報道機関の役割。社員がその犯罪に手を染めたのに、公表もせずに処分もしていないのであれば、報道機関失格ではないか>

   週刊文春の発売にあわせて、5月30日付の朝日新聞朝刊はこう書かざるをえなくなった。<わいせつな画像をインターネット上のサイトに投稿したとして、警視庁は今月下旬、朝日新聞社製作本部名古屋製作センターの男性社員(41)を、わいせつ電磁的記録媒体陳列の疑いで書類送検した。社員は容疑を認めている>

   さらに、朝日新聞社広報部の談話として、「本社社員が書類送検されたことを重く受け止め、厳正に処分しました」としている。「厳正処分」とはいかなる処分だろう。「変態社員」と書かれては居づらかろう。因果応報といってしまえばそれまでだが、ネット社会が生み出した悲劇ではある。

NHKクローズアップ現代「大阪地検の虚偽調書」放送延期!圧力かけた身内記者

   『週刊ポスト』がNHKの番組放送延期の問題を取り上げている。週刊ポストによればこうである。<NHKの報道番組『かんさい熱視線』(毎週金曜夜7時30分~55分)だった。関西の「いま」を切り取る同番組の4月8日放送回は、「『虚偽自白』取調室で何が」と題され、被疑者が嘘の自白をさせられてしまう取り調べの実態に迫った。番組ハイライトは、10年9月、兄弟喧嘩の末に弟の首を絞めて窒息死させたとして兄が逮捕・起訴された事件の検証である。

   大阪地検の検事が作成した調書には「隙をついて背後に回り首を絞めた」「手加減しなかった」などと書かれてあり、兄が弟の首を絞めている認識があったかのように読める。しかし取り調べの模様を記録したDVDが裁判員裁判に公開されたことで検察のストーリーは崩壊した。

   DVDには調書に署名した後に、兄が「結果的にそうなってしまった」と話すシーンが録画され、兄の証言が調書の内容と食い違うことが明らかになったのだ>

   結局、調書は信用できないとして兄は無罪となり、大阪地検は控訴を断念した。これについては、NHKの「クローズアップ現代」でも放送する予定だったのに、延期になってしまった。それも待ったをかけたのはNHKの内部からだったというのである。NHK関係者がこう話す。

<「NHK東京本社の記者が検察の激怒を知って、上層部に進言したそうです。『証拠DVDを再度放送すれば番組関係者が検察に捜査される可能性もある』として、番組中止を訴えた。当局にすり寄る記者連中と、それに反発するディレクターの対立というのはNHKではよくある構図ですが、今回はあまりにもひどい」>

   そのうち放映される予定だというが、内容が骨抜きにされる可能性があるようだ。NHKのときの権力に弱い体質が、ここでも露呈したようである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか