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77歳登山者救ったビニ―ル袋のメモ「SOS 男1人」川に流し釣り人が発見!

   さまざまな情報ツールがある中、山で道に迷った77歳の老人を救ったのは実に古風な「SOS」だった。「SOS 救助を乞う 男1人 ビバーク」と書いたメモをビニール袋に入れて川に流し、下流からの助けを待った。メモは釣り人の目にとまり、老人は3日ぶりに無事救助された。

食糧はアンパン、バナナ半分、チョコレート1枚

   助かったのは神奈川県茅ケ崎市の小山彰さんだ。今月10日(2013年6月)から2泊3日の予定で埼玉県秩父市の十文字山(標高2071メートル)に登山に出掛けた。11日に入山し峠の山小屋で1泊、12日朝に小屋を出て登山道とは別の道で下山の途についたが、半分あたりのところで沢に迷い込んだ。

   12日、13日と沢で夜を明かした。食糧はアンパンとバナナ半分、チョコレート1枚。だんだん心細くなってきた14日午前、メモを書いて流すことを思いつく。

   一夜明けた15日朝、沢を上ってきた2人の釣り人が石に流れついているメモを発見した。10分ほど上ると「おーい、おーい」という声が聞こえ、救助に向かった。小山さんは2人に支えられ無事下山した。

「村田英雄の歌を思い出して口ずさんで救助待ちました」

   レポーターの阿部祐二が小山さんに話を聞いた。登山歴15年、小柄だが飄々とした感じの人だ。

   どんな気持ちで待っていたのか――「雨の中はヘリコプターは飛ばないので、13日は警察も動けないだろうと思いました。食料には手を付けず、スポーツ飲料の粉末を川の水で溶かし飢えをしのぎました」

   夜は――「あまり眠らなかった。細い板を見つけてその上で寝たが、ベッドじゃないんだから尻は痛いし、背中は痛いし、うつ伏せになったら胸が痛いし」

   何をしていたのか――「何もすることがないんだよ。本も持ってない。音楽も聞くことができない。村田英雄の歌を思い出して口ずさんでいました」

   SOSを思いついたのは――「雨があがったら、もしかしたら釣り人が入ってくるかもしれない。それでSOSを思いついた。助けてくれた2人におにぎり1個とドーナツ1個もらいました。うまい、うまい。ああいうときは、弱気になっちゃダメだと思うよ」

   阿部は救助されたポイントを3つあげる。「SOSのメモ、十分な装備と食料、それと動かずに救助を待ったこと。とにかく冷静、判断が的確でした」。偶然にも助けられたが、これから夏山に向かう人には見習う点が多い。