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田んぼアート「青森・田舎館村」古代米の思い付きがいまや見物客23万人

   色の違う稲を植えて絵を作り出す「田んぼアート」の発祥地を大竹真レポーターが訪ねた。青森県田舎館村は人口はわずか8263人、青森で一番小さな村で、「何にもない。海もない。山もない。田んぼだけ」というのに、今年(2013年)は3か月で23 万人が訪れた。

   今年7月にできたという「田んぼアート駅」は無人駅で、辺りはもちろん田んぼだ。近くにある展望台にのぼると、目の前の水田に「ウルトラマン」の絵が浮かぶ。「うわー、バルタン星人もいるぅ」と大竹。ここは実は第2会場で、30分毎に来るシャトルワゴンで第1会場の村役場前へ着いた。地上で見ると、何が描かれているかまったくわからないが、役場の上にある展望台から見ると、見事に「花魁」と「マリリン・モンロー」が見えた。

今年は9種類の稲植え分けて「花魁」と「マリリン・モンロー」

   田んぼアートの始まりは20年前だ。村で弥生時代の水田跡がみつかり、村は2つの古代米を探し出した。紫大黒と黄大黒で、その名の通り色が違う。これを使って村おこしができないかと思いついたのが田んぼアートだった。

   1993年から9年間、目の前に見える岩木山の形と「稲文化のむら いなかだて」の文字を浮かせていた。そして10年目の02年に初めてイラストに挑戦、古代米に緑色の「つがるロマン」を加えて作った「岩木山と稲と月」は好評だった。

   そこで翌年に「モナリザ」を作った。ところが、これが不評だった。絵をそのまま拡大したため、展望台から見ると手前にある身体の部分がでかく見えて、「肥ってる」といわれてしまったのだ。ヘリで上空から見ると普通なのに、斜めに見ると歪んでしまう。村はやるきになった。歪みを修正して04年「羅?羅の柵と山神妃の柵」(土方志功)、05年「写楽と歌麿」、06年「風神雷神図」、07年「神奈川沖浪裏と赤富士」(北斎)、08年「恵比須様と大黒様」、09年「戦国武将とナポレオン」、10年「弁慶と牛若丸」、11年「竹取物語」、 12年「悲母観音と不動明王」とつづけてきた。

   今年の「花魁」と「マリリン」は、それぞれタテ(奥行き)150メートルxヨコ(幅)100メートル。パースペクテォブがきちんと修正されて見える。しかも 絵柄が細かい。実はコメの種類が増えていた。白、橙、赤、濃緑、赤穂、紫穂を加えて9種類が入念に植えられていた。イラストの原画を遠近法で修正した設計図を作り、これをもとに田んぼの中に色違いの目印をつける。1万3000か所にもなった。そして、それぞれ分けて栽培した苗を6月2日に入念に植えた。稲が育つとだんだんと絵が見えてくるというのだった。

先月末に1000人で稲刈り…「食べるのは簡単だけどね」

   わずか3か月の命だが、この間に観光客23万人、海外からも来るという。そして9月29日には、村民、観光客ら1000人で稲刈りをした。子どももまじってお祭り騒ぎ。みんな稲の大切さを学ぶ。「食べるのは簡単だけどね」

   世界遺産にうるさい本村健太郎(弁護士)が「これはすばらしい。チャンスがあるかもしれない」という。

   司会の加藤浩次「自然遺産になる? いや、文化遺産かな」

   いま全国で75の自治体が田んぼアートをやっているという。全部で集まってサミットをやったことがあるそうだ。

   加藤「全部回って、今年はどこが良かったとやれば面白い」

   そこでキャスターのテリー伊藤がプロモーターの顔になった。「23万人でしょう。ボクは 300万人、400万人は集められる可能性があると思う。3か月をお祭りにして、それこそ2020年に日本に来た人がこの村に行こうと思うようなものに」

   村には宿泊施設がなく、周辺の市町村が喜んでいるのだそうだ。村に落ちるお金は展望台の入館料(大人300円、こども100円)だけ。テリーはなおも「いろんなやりかたがある。もったいない。ちゃんとしたプロ デューサーつけて」

   加藤は「オレは横の連携だと思う」

   稲刈りでは絵の部分は刈ってないので、10月14日まで見られるという。