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TBSついに決断?みのもんた切り…コンプライアンス室「復帰は不都合で困難」

<「みのさんが9月30日までにTBSホールディングスの株を3万株買い増しし、個人筆頭株主に躍り出たというのです。(中略)
   そもそも、みのさんは、うちの株を5万~6万株持つ大株主でした。TBSでは、2005年に始まった楽天による株式の買収騒動の際に、局と縁の深い多数の資産家に安定株主として株を持ってもらう防衛策をとりました。この時、みのさんにも頭を下げて、買っていただいたんです」>

   みのもんた攻撃が止まらない。もう社会的な制裁は十分受け、本人も次男が起訴されれば「朝ズバッ!」などへの復帰は難しいと考えているのではないだろうか。そう思うからここで取り上げる気はなかったのだが、『週刊新潮』によると、みのはTBS側と徹底抗戦するというので読んでみた。

   上のコメントはTBSのある中堅社員である。個人ではかなりの株数になるのだが、それでも全体でいえば少数派である。みのはどんな戦略を考えているのだろうか。同社員がこう続ける。

<「これが編成局や報道局の一部の幹部にも知らされ、衝撃が走ったといいます。実際には7万~8万株持ったとしても、発行済み株式の0.1%にも満たないし、議決権などを行使できるような影響力はありません。しかし、大株主の一人であることには違いなく、本人にすれば、それを背景に『自分から降板するつもりはない』と徹底抗戦の意思表明を行ったのではないでしょうか。少なくとも、この話を聞いた幹部らはそう受けとめたようです。(中略)あるいは、株購入によって、『楽天騒動の際に協力したことを、よもやお忘れではないでしょうね』と井上弘会長、石原俊爾社長ら経営幹部に訴え、恩義を思い出してもらおうという戦略かもしれません」>

   彼の知人は「本人はやはりTBSの『朝ズバッ!』に復帰したい一念ですよ」と語っている。だが、そのTBSでは、彼の知らないところで重要な決定が下されていたというのである。

<「実は、各部署の法令遵守事案を統括するコンプライアンス室で、みのさんの処遇をめぐる問題が議題にかけられていたのです」
   こう内情を明かすのはTBSの幹部である。
「それがつい最近、『みのもんた氏の復帰は不都合で、困難である』との結論に達したのです。もちろんこれが即、社全体の決定にはなりませんが、間もなく役員会に上げられる。これを基に、井上会長や石原社長がみのさんと話し合うことになるでしょう」>

   最高年棒は一時27億円を超えたと豪語するみのだが、親から引き継いだ水道業「ニッコク」の業績が下がりっぱなしで、7億円ともいわれるギャラがなくなるとそちらへの影響が出るようだし、鎌倉の大豪邸の維持費も毎年数千万円になるというから、そう簡単に「全部辞めます」とはいえないようである。カネを持てば持っただけ生活が大きくなり、それを縮小するのはなかなか難しい。大変ですな、みのさんも。

「いいとも」打ち切るフジテレビの凋落…あれを越える番組むずかしいぞ

   みのとは違った意味で、かねてから報じられていたフジテレビの長寿番組「笑っていいとも!」が来年3月(2014年)で終了することが、タモリの口から発表された。放送開始から32年である。単独の司会者による生放送の長寿番組として、2003年版のギネス世界記録に認定され、10月22日の放送で7947回を迎えた。タモリは番組で「32年間、フジテレビがずっと守ってくれた。出演者のみなさんにお世話になった。国民のみなさんにどっち向いても感謝。本当にありがとうございました」と話したが、国民番組といってもいい番組が消えるのはやはり寂しい。

   この番組の終了で明らかになったのはフジテレビの凋落である。番組を終了することは誰でもできるが、それを越える人気番組を持ってこられるのかが問われる。最近のフジは低視聴率番組をあっという間に終了して、昔ヒットした番組の焼き直しのようなものをやってはコケて、嘲笑を買っている。テレビ東京が背後に迫っているフジテレビの焦りが見えるようである。

消える会社筆頭「東京電力」…以下、「グリー」「ヤマダ電機」「ワタミ」「マツモトキヨシ」

   『週刊現代』が毎度毎度の会社の寿命企画「長生きする会社 すぐ消える会社」をやっている。経済のプロに日本を代表する30社の将来性を診断してもらったとある。こういう記事を読むとき、ランクの上の会社を見るより、低い会社から見てしまうのは私だけだろうか。

   長寿力100点満点で採点してある。一番低いのは東京電力の27点。これは説明の必要はないだろう。お次は30点のソーシャルゲーム大手の「グリー」である。10月2日に業績悪化で200人の希望退職を募ると発表したから致し方なかろう。次は「ヤマダ電機」の32点。一時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、栄枯盛衰は世の習いか。外食産業の「ワタミ」は38点で「マツモトキヨシHD」が40点。

   上位は「三菱商事」が85点、「トヨタ自動車」が83点で双璧。同じ三菱グループの「三菱地所」が80点で第3位である。三菱商事の評価欄に「総合商社は日本にしかない業態で海外にライバルはいない」というのがあるが、どうしてそれが高評価につながるのか頷けない。日本特有の総合商社は、企業が内部にそうした機能を持ち始めているから生き残れない、商社冬の時代といわれたのはそう遠い昔ではない。

   50年後まで生き残ることができる可能性を評価したそうだが、自動車産業も商社も、50年後には消えないまでも衰退している確率が高いと、私などは考えるのだが、いかがだろう。

ユニクロに勝訴で大はしゃぎ「週刊文春」ブラックぶり裁判所が認定した!

   『週刊文春』はユニクロを「ブラック企業」と裁判所が認定してくれたことが余程嬉しいらしい。<「原告らのその余の請求をいずれも棄却する」

   十月十八日、東京地裁の法廷に、土田昭彦裁判長の声が響き渡った。ユニクロ側が文藝春秋を訴えた裁判の判決で、本誌が指摘した『過剰労働』について、裁判所は全面的に事実と認定したのだ>(週刊文春)

   ユニクロ側が問題視したのは、週刊文春(2010年5月6日/13日号)で、国内店舗や中国の工場における過酷な労働環境をレポートした、次のような記述についてであるという。<現役店長はこう説明する。(中略)「けれど、仕事量が減ったわけでありませんから、一一月や一二月の繁忙期となると、今でも月三〇〇時間を超えています。そんな時は、タイムカードを先に押して、いったん退社したことにしてから働いています。本部ですか? 薄々は知っているんじゃないですか」>(「ユニクロ帝国の光と影」文藝春秋・横田増生著より)

   これを読んだユニクロ柳井正社長の怒りは凄まじかったようだ。11年6月6日に行われた部長会議では、週刊文春を訴える旨の報告の後、柳井社長から次のような話があったと週刊文春は書いている。

<「高収益を上げ、高成長を遂げているユニクロは、低価格と高品質を両立した商品を実現するために、店舗の社員やお取引先の労働者から搾取している、という内容が書籍に書かれている。
   しかし、我々は、そのような恥ずべき行為は決してしておらず、万が一、不適切な労働実態などあれば、真摯にそれを正していく企業である」(同社「部長会議ニュース」より)>

   裁判所は柳井社長やユニクロ側の請求をすべて棄却した。判決のポイントになったのはこうだ。<判決文では、ユニクロ国内店舗の労働環境について、「出退勤管理のシステム上、サービス残業を行うことは物理的には可能であり(中略)、現にサービス残業が行われた事例が発覚していることが認められる」「(記事の)重要な部分については真実である」として、著者の横田氏が店長の証言にもとづいて報じた長時間労働の実態を事実と認定している。

   中国の現地工場における長時間残業などについては「(記事の)重要な部分が真実であると判断したことには相当の理由がある」と内容の正当性が認められている>

   10月10日にアパレル業界としては初めて年間売上高が1兆円を突破したユニクロだが、ブラック企業という『汚名』はまだまだ消えないようである。

松本人志監督「R100」 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群―「週刊新潮」うまい!

   ここでちょこっと休憩。『週刊新潮』は名編集者の斎藤十一氏が作り上げたものだが、当時からタイトルのうまさは群を抜いていた。その伝統はまだ残っていて、ときどきだが、うまい!と感心させられるタイトルがある。今週のワイドの中の1本だが、お笑い芸人の松本人志がつくった映画「R100」について、付いたタイトルが「『松本人志』監督『R100』 上映館を埋め尽くす閑古鳥の大群」。中身を読まなくてもタイトルがすべてを表している。天晴れ!

わが地元 東京・中野「住むのに適した街」と言われても…コンビニ多いだけで災害にゃ弱い

   お次に『AERA』の記事を持ってきたのは、多分に私情が入っているのでお許しいただきたい。以前にも書いたと思うが、私は東京の中野区という所に住んでいる。わが家は築50年を過ぎ老朽化甚だしい。おまけに家の前の通りは狭く、救急車は入れるが消防車は無理である。

   だいぶ前、知り合いの建築家に見せたところ、震度3か4の地震が来れば崩壊の危険大だといわれた。幸い東日本大震災のときの震度5強の揺れには何とか耐えたが、震度6~7になれば家諸共崩れ去る運命かと、半分諦めの境地である。

   だが、人間、何かにすがりたい気持ちはいつでもある。AERAの新聞広告を見て「災害に強い街15カ所」の中に中野という文字が見えたので、あわてて駅で買って読んでみた。AERAによると、本来的な意味で「住むのに適した」街とは、災害に耐えうる安全性を備え、利便性が高く、快適な暮らしができる街のことで、AERAはこれを「強い街」と名付けたという。

   評価項目は、洪水、津波の浸水域、地震による災害被害の想定域にあるか。救急車の出動から現場への到着時間。高度な救急医療を担う3次救急医療機関までの距離、コンビニ、警察が近隣にあるかなどである。対象は「リクルート住まいカンパニー」調べの「住みたい街」の関東・関西ランキング上位29か所のターミナル駅から選んだという。

   常に住みたい街の上位に上がる東京・吉祥寺は関東地区で第8位。ベスト5は意外な結果である。神奈川県・藤沢が1位。続いて新宿、恵比寿、渋谷、横浜と続く。藤沢は「医療機関へのアクセス良好に加え、地盤も軟らかくない」という理由である。新宿は交番やコンビニが多く、恵比寿はさまざまな指標が平均していいのだそうだ。

   わが街中野は堂々11位にランクインしているではないか。しかし、本文を読んでみると、中野駅周辺は災害時に大きな被害が出るとされ、危険度も高い。日本でも有数の人口密度の高い自治体で、木造密集地域が少なくなく、災害が起これば被害は拡大すると見られているとある。

   な~んだ、ちっとも安心できる地域ではなさそうだ。コンビニと医療機関の数は多そうだが、これを読んで安心する気にはなれないね。

「特別機密保護法」危機感薄い新聞…賛同者募って反対声明出します!

   最後に大事なことを書いておきたい。今週の水曜日(2013年10月23日)に立教大学の服部孝章教授と会って「特定秘密保護法案」について話し合った。法案の細かいことは書かないが、この法律は国民の知る権利を蔑ろにし、何が「特定秘密」になったかを国民に知らせず、永遠に開示することもなく闇から闇へ隠してしまう法律である。

   私や服部教授、上智大学の田島泰彦教授たちが賛同者を募り、近々に反対声明を出すが、これは個人情報保護法を超える悪法、平成の治安維持法であることは間違いない。

   だが、メディア、とくに新聞のこの法案に対する危機感の何と薄いことか。この10年、言論・報道の自由への規制法が次々に成立し、無気力になっているのかもしれない。

   こんな法律が成立してしまったら、何でもかんでも秘密にして、国民は情報を何も知らされないまま国が変容していってしまう。時間は残されていない。野党に期待することもできない。一人一人が自分の身のまわりで「絶対反対」の声をあげるべきときである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか