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猪瀬都知事「紙ペラ借用証」本物なの!?押印・印紙、返済期限も金利もなし

   東京都の猪瀬直樹知事はきのう26日(2013年11月)、徳洲会から提供された5000万円の借用証を公開した。会見で「これです」と見せたのは、なんとA4のペラ紙1枚だった。

   借用証は「借用証 徳田毅殿 平成24年11月20日」と印字され、金額の「5000万円」「住所 猪瀬直樹」は手書きだが、押印も印紙もない。猪瀬は「議員会館の徳田毅議員の事務所で空欄の用紙を渡され書き込んだ。いま見ると印鑑も押してないなぁと思うが、借用証には縁がないので形式もわからない。信任があればいいと思った」と話している。

「落選した時の生活不安から借りることにした」

   借用証について知事は22日には「あるのかどうかわからない」、23日には「あります。公開する必要はないと思うが」といってきた。それが「きのう(25日)朝、貸金庫にあることがわかった」といい、9月に5000万円を返金したあと徳田議員事務所から郵送されてきたと説明した。

   知事が明かした経緯は、昨年11月6日に初めて徳洲会理事長(当時)の徳田虎雄氏にあいさつに出掛け、14日に和食屋で毅議員に会い、選挙は金がかかるという話をした。19日に議員から電話があり、20日議員会館へ出向いて金を受け取ったというものだ。

   それにしても、借用証は金額の割にあまりにも簡単だ。たいして面識もない人からの借金なのに、無利子無担保はどう考えても不自然だ。このあたりについては、「いっときのことなので、利子のことは考えてなかった」「(毅議員には)都知事選は3000万円くらいでやるつもりですといった。実際かかったのは3000万円でした」「(落選したら)作家として活動するため、5000万円でとりあえず不安を取り除くことができた」と話した。選挙で落選した時のことを考えて金を借りたと言いたいのだろう。

   金利について聞かれ、「後で適当な額をお返ししないといけないかもしれませんね」と語ったが、進退については「都民のため国民のため東京のため日本のために、全身全霊で職務を邁進します」

片山善博(元鳥取県知事)「もう猪瀬氏に都庁動かせない。気の毒だが喜劇です」

   司会の井上貴博アナ「癒着に切り込んできた猪瀬さんが、こういう渦中にいるのは皮肉ですね」

   番組アンカーのやくみつる「ばつの悪い会見が続いていますね。前言を翻したり、いちばんまずいパターンですよ。毅さんの側から何か出たときに齟齬が生じなければいいが……」

   井上「これで一件落着でしょうかね」

   野村修也(弁護士)「これが本物かどうか。それと、無期限だと渡し金ではないかというのがある。ただ、猪瀬氏からはこれ以上は出て来ないと思います」

   片山善博(慶応大教授)「こんなことが通用するかどうか、ノンフィクション作家の猪瀬直樹であれば客観的にはわかると思いますがねえ。これが通用すれば、政治家の金は『借りてたんです』でオールセーフになってしまう」

   片山は元鳥取県知事だ。「こんなことがあると示しがつかない。都庁という大きな組織を前に指導力を失う。見ていても気の毒というか、喜劇ですよね。い くら何でも物悲しい」