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安倍首相「靖国参拝」行くなら今でしょで強行!米政府が異例の強い非難声明

   安倍首相がきのう26日(2013年12月)に、突然、靖国神社を参拝した。首相の参拝は小泉首相以来7年ぶりだ。自民党内でも事前調整はなかったという。中国、韓国の批難は予想通りだが、アメリカが異例の強い反発を示した。

   安倍は「尊い命を犠牲にされた英霊に尊崇の念を表し」「2度と再び戦争の惨禍に苦しむことのないように…。不戦の誓いを」と決まり文句を並べたが、なぜこのタイミングだったのか。安倍側近の萩生田光一・自民党総裁特別補佐はこう説明した。

「任期中に1度とか2度という問題ではなく、1年という時間軸をひとつのクールとして考えていらっしゃるのだと思う。その思いを巡らして、きょうの日に至った。政治を志した、ある意味原点なんじゃないでしょうか」

   安倍は第1次内閣の任期中に参拝しなかったことを「痛恨のきわみだ」と繰り返しいっていた。6年越しに思いを実行し、これからも年に何回か行くつもりだということか。

「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させる行動とったことに、アメリカ政府は失望している」

   反発は身近なところから起った。連立を組む公明党の山口代表は「今後を考えると残念だ。結果は安倍総理自身が修復する責任がある」と突き放した。中国、韓国の反応は予想通りだった。参拝から2時間後、中国の程永華駐日大使が外務省に抗議に訪れ、記者団に「国際社会への大きな挑戦だ。中日関係も傷つけ、戦争被害国の国民の感情を傷つけた行動だ」と非難した。中国外務省も「歴史問題でもめ事を起こし、両国関係に重大な政治的傷害をもたらした」と表明した。韓国外務省は「不戦の誓いをするのに、 なぜ靖国神社へ行かなければならないのか聞きたい」と批判した。

   アメリカの反発も強かった。駐日大使館は「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動をとったことに、アメリカ政府は失望している」と異例の声明を出した。

   こうした批判に、安倍は「韓国、中国の人々を傷つける考えは毛頭ありません」といい、米政府の批判にも「誤解があるのは事実なので、しっかりと説明して解いていきたい」と、「誤解」で片付ける。官邸筋もまた「中国と米国は怒っていないし、刺激もしていない」という。ともに相当な神経だ。

   萩生田は「一定の批判や反発は織り込み済み」「参拝そのものにも懸念はない。(靖国参拝は)外交問題じゃないというのが総理の思いだ」という。

参拝してもしなくても日中・日韓関係悪化、来年春の例大祭のとき消費税8%

   司会の羽鳥慎一「なぜいま、と理解に苦しみますね」

   政治アナリストの伊藤惇夫氏は「このタイミングしかなかった」という。「中国、韓国との関係改善が望めないいまなら、靖国へ行っても行かなくても同じという発想なんでしょう。逆に、関係が改善すると行けなくなってしまう」

   スケジュールでいうと、春の例大祭は消費税8%の時期にあたる。8月15日は刺激的すぎる。となると、いま行かないと秋の例大祭まで行けない。その時、安倍政権がどういう状況になっているかわからない。つまり「ギリギリこのタイミング」となるのだ伊藤氏は見る。

   羽鳥「参拝自体はどうですか」

   伊藤「国益でプラスは何もない。日中間は政治的にも経済的にもダメージを受けますよ。アメリカの反発はおそらく想定外だったと思う」

   吉永みち子(作家)「自分の思いだけで動いている感じですよね。数もあるし、自分の意志を通すんだという強い決意が現れている。ちょっと恐ろしい」

   羽鳥「尊崇の念を表明するのなら、方法は他にいくらでもあるような気もしますが…」

   たしかに、それなら8月15日でもなんでも、千鳥ヶ淵にいけばいい。だれも文句はいわないだろう。問題は靖国神社にある。

   伊藤「側近も政権が安定するまでは靖国には行かせないと止めてきた。しかし、臨時国会から方向転換していますね。経済から理念型へと。靖国参拝はその象徴でしょう」

   首相をだれも止められないというのが危うい。伊藤は「このままいくと、集団的自衛権うんぬんになる」と心配する。

   吉永「国民が望んでることじゃないですからね」