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NHK籾井会長「全員に辞表要求よくある」にJP社長反論「常識的にあり得ない」

   籾井勝人NHK会長に批判が強まっている。26日(2014年2月)に開かれた衆院予算委員会(第二分科会)に呼ばれ、民主党の階猛議員から就任初日にNHK理事10人全員に日付を空欄にした辞表の提出を求めたことの意図を正されてこう答えた。「NHK理事が辞表を預かったことによって萎縮するとは思っていない。こういうことは一般社会ではよくあることだと私は理解しています」

   NHKを所管する新藤義孝総務相は一般論と断ったうえで、「1回自分のところで、皆で心を合わせて頑張っていこうと…。現実に罷免された理事はいないのですから」と擁護する。

専門の弁護士「一般的によくあることとは到底思えません」

   一般社会、つまり民間企業で、社長が就任早々に役員に辞表提出を求める事などあり得るのか。何の落ち度もないのに、唐突に辞表提出を求められ萎縮しないで仕事ができるのか。企業のコンプライアンスやコーポレート・ガバナンスに詳しい牛島信弁護士は、「一般的によくあることとは到底思えません。よくあるなら、私は必ず経験してます」と話す。

   東芝の元会長で日本郵政の西室泰三社長は「一般社会で常識的に行なわれているとは思っていません。昔の遺産としてそういうものがあるか調べ直す必要もないぐらい常識的にそんなことを経営陣に求めたことはないし、求めるつもりもありません」という。NHK労働組合はホームページで「取材や営業の現場でも厳しい対応を受ける事が増えてきている。早急に収拾の手段を講じるべきだ」と書く。

NHK所轄の総務相は必死に擁護

   コメンテーターの北村正恭(早大大学院教授)「負の連鎖が起きていますね。国会の場で、会長と理事の意思の疎通が図られていないうえ、敵対的な表現すら出てきた。さらに、NHK経営委員のさまざまな問題発言が連鎖してとまらなくなっています」

   北村は国会でもっと議論すればいいというが、ノンフィクション作家の小松成美は「総務大臣は(辞表提出が)心を一つにするひとつの方法だったように言っていたが、それにも大きな疑問を持ちました」という。

   公共の報道機関であるNHKが、民間のサービス業や製造業とはまったく異なるぐらいのことは籾井会長も分かっていて辞表の提出を求めたはずだ。意に沿わない言動を封じ込める狙いがあったと見られてもやむを得まい。