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求む!ハイスキル主婦―大手勤務で身に付けた高い技術、経験、知識に中小企業が熱い視線

   2回にわたってのシリーズ主婦パワーを放送する。1回目は結婚や出産を機に大手企業を退職した高スキル主婦たちに中小企業などから熱い視線が送られているというレポートだ。国は昨年度(2013年度)からハイスキル主婦たちと中小企業をマッチングする「中小企業新戦力発掘プロジェクト」をスタートさせた。全国各地で登録会を行い、中小企業が求める人材と主婦のスキルをマッチングさせる。これまで1300人以上の主婦の再就職が決まり、即戦力として中小企業の新規事業の開拓や販路拡大を実現するケースが増えている。

大手アパレルメーカー広報担当17年、いまは印刷会社の主戦力

   東京・荒川区の小さな印刷会社で働く40代の西谷順子さんは、かつて大手アパレルメーカーの広報担当として17年間働いた。2人目の娘の出産を機に退職し、その後に仕事に戻ろうと他社の中途採用に応募したが、いずれも残業ありで2人の子育てのある西谷さんには難しかった。そんな時に目にしたのが荒川区の小さな印刷会社だった。 西谷さん「従業員5人の小さな印刷会社だから、きっと頑固オヤジの社長と奥さんで切り盛りしているのだろうというイメージがありました。最初はどこまで自分がやっていけるのか不安でした」

   この印刷会社はそれまでのチラシやパンフレット製作で培った特殊技術を生かし、新規事業として新たに紙のブックカバーの製作を進めていた。でも、新製品の営業販路がない。そこで高スキル主婦として西谷さんを採用したのだった。

   労働条件は週3日。1日4時間で時給は1400円。1か月で20万円近い報酬となる。社長の高橋淳一氏は「こんなに凄い人だとは最初は思わなかった。会社に来るたびに次々と新しい提案をする。そして、昔の人脈を活用して宣伝・販売にも力を入れてくれるんです」と目を細めた。

「フルタイム」「パートタイム」雇う方も働く方も求められる選択多様化

   また、商社で17年働き営業力を鍛え上げた40代の主婦は、新しい技術の販路を拡大する人材として金属加工メーカーへ再就職した。国谷裕子キャスター「これだけのスキルを持っている主婦たちが、なぜ今まで注目されなかったのでしょうか」とゲストの労働政策研究・研修機構の池田心豪・副主任研究員)に聞く。

「結婚・出産を経た後、自分が得意とする仕事がなかなか見つからないという状況が続いていました。再就職を希望する主婦たちの方にも家族関係もあり、自分がどこまでできるかという不安、さらには会社の雰囲気が分からない、中小企業の雰囲気にどうやったら馴染めるかという心配がありました」

   国谷「これらのハイスキル主婦たちを、より以上に活用するためには何が必要でしょうか」

   池田研究員「フルタイムで働く人と、短時間労働しかできない人をどう評価するかが大きなカギです。これから労働人口は減っていきます。短時間であれ、フルタイムでも、いろいろな人が働ける環境をどう整備するかが重要だと思います」と池田氏は説明した。

*NHKクローズアップ現代(2014年5月19日放送「シリーズ 主婦パワーを生かす① 『高スキル主婦』が中小企業を救う」)