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<ルーズヴェルト・ゲーム>(TBS系)
ドジョウは2匹いなかった…「半沢直樹」追いかけすぎて失敗「池井戸潤第2弾」とにかく立川談春いただけなかった

 

   TBS日曜劇場では2013年7~9月期の「半沢直樹」に次ぐ池井戸潤原作のドラマである。「半沢直樹」は最終話の視聴率が関東で42.4%、関西で45.5%という驚異的な数字となり、「倍返しだ!」というキメ台詞が流行語ともなった。だけど、こちらの方は最終回視聴率17.6%だった。あからさまな「夢よ、もう一度」路線だったが、残念ながらそれは成らなかったようだ。

歌舞伎役者・片岡愛之助でウケたので今度は落語家…安直キャスティングのツケ

 

   キャスティングにも意識的に「半沢」を踏襲しようという意図が見えた。「半沢」で大物悪役だった香川照之がまた黒幕的な悪役で登場、卑怯者の上司を演じた石丸幹二が今度はまじめで人情深い総務部長・野球部長を演じている。そして、「半沢」で歌舞伎界から片岡愛之助を持ってきて成功したので、今回は落語界の人気者、立川談春を起用した。

 

   香川照之は出番が少なかったが相変わらずの憎たらしさ全開、石丸幹二は経営が厳しい会社の人事担当として誠実に悩む姿を好演し、前回で見せた情けない最低男ぶりを挽回(?)した。だが、立川談春はどうもいただけなかった。

   片岡愛之助は冷徹な官僚でありながらオカマという意外性をみごとに演じたから、ドラマの強烈なアクセントとして成功したのだ。立川談春は田舎芝居の悪親分みたいな昔っぽいワル顔そのままに敵会社のワル社長をやっていて、憎たらしさどころか、社長としての貫録もなく、なんの凄みも感じられない。まあ、役柄に深みがないのだから仕方ないのかもしれないが……。「型」を演じる古典芸能と、役を内面化する近代性が必要なドラマとの取り合わせの難しさを感じた。

会長からアルバイトまで全社一丸…昭和30年代の古臭さ

 

   話はたしかに「逆転に次ぐ逆転の物語」というだけあって、会社乗っ取りの攻防にはハラハラさせられた。攻防の焦点となる新技術はイメージセンサーというものだから、時代は現代なのだろう。だけどなんだか昭和の話みたいな感じがした。社長、会長はじめ技術者、現場労働者、アルバイトまで会社を愛し、全社一丸となって会社の象徴である野球部を応援する。最後に野球部が勝つと同時に倒産寸前だった会社も立ち直る。昭和も昭和、30年代みたいだ。日本の企業文化の良さは私もわかるつもりだが、これはちょっとズレてないか? 後ろを向いて「夢よ、もう一度」と空しく叫んでいるような気がした。(放送・日曜よる9時~)

(カモノ・ハシ)