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<若者たち 2014>(フジテレビ系)
イケメンぶりが邪魔してる妻夫木聡「若者たち」2代目長男!プロレス好きの単純な熱い男に見えん

   さすがフジテレビの開局55周年記念ドラマ、力が入っている。出演者たちもそれぞれ主役を張れるような面々が何人もそろっていて豪華だ。それもそのはず、あの「北の国から」のディレクター・杉田成道が「これは志のドラマだから協力してほしい」と俳優に呼びかけ、それに応じて集まったのだそうだ(公式サイトによる)。キャスティングからして熱いのである。

昭和の臭いプンプンの5人兄妹...濃厚な人間関係悪くない

   東京の下町に住む佐藤家。両親は早くに亡くなり、兄妹5人で暮らしている。1966年に放送された「若者たち」のリメークというかオマージュなので、家族構成は同じである。ただ、この年齢で5人兄弟も当時は珍しくなかったが、今ではめったに見かけない。たった1世代の間に激しく進んだ少子化を実感する。

   「君の行く道ははてしなく遠い...」という主題歌は歌い継がれているので耳に残っている。好みの問題ではあるが、森山直太朗バージョンには違和感がある。裏声やコブシなどの技巧を使わず真っ直ぐな歌い方の方がドラマの内容に合っているのではないか。

   長男・旭(妻夫木聡)、次男・暁(瑛太)、三男・陽(柄本佑)、四男・旦(野村周平)は何かと言えばすぐ殴りあう。文字通り力の入り方はハンパなく、いやあ、これは疲れるわ。俳優さんたち、たいへんだなあ。口げんかばかりしているので、セリフの方も力いっぱいしゃべるシーンが多い。

50年前の初代長男は田中邦衛

   とくに、父親代わりの責任感が強いあまり弟妹たちを閉口させる熱血兄貴の妻夫木くんと、それに反発する次男・瑛太のバトルは、汗が画面のこちら側まで飛んできそうだ。でもこのバトル、どちらかと言えば瑛太の勝ちかな。妻夫木くんは演技力はあるし、汚い恰好で力いっぱいやっていて「志」を感じる。しかし、プロレス好きの単純な熱い男というには、持って生まれた繊細さとイケメンぶりがちょっと邪魔をしている気がする。なにせ、旧バージョンでは田中邦衛がやった役だからね。

   家のある場所は墨田区京島あたり、スカイツリーが近くに見えるが古い木造の密集した家並みが残り、昭和レトロそのものだ。スカイツリーが建設中の頃、仕事でよくあの辺を歩いていた。それまであまり下町に縁がなかったので物珍しく、店や出会う人々などみんな楽しかった。

   そんな昭和な家に住み、心持ちも昭和な若者たちを平成の若者たちが演じている。それを平成の若者たちはどう見ているのだろうか。昭和の若者であった私でさえも、最初はあまりの濃密さに「......」だったが、次第に引き込まれていった。最初の垣根を乗り越えたら、若くてもこのドラマに共感できると思うけど。

   同じ家族でも「家族狩り」とは対極にある世界だ。そろそろ季節も涼しくなってきた。ゾッとする家族よりホッとする家族がいいね。(水曜日よる10時~)

(カモノ・ハシ)