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あなたも「老後破産」予備軍じゃないか?こんな住宅ローン、定年後の夢追いが危ない!

   このところ「老後破産」という言葉が週刊誌で目につく。嫌な言葉である。私を含めて、長い付き合いのあるフリーライターの多くがこうした事態に直面しているからなおさらである。

   私事で恐縮だが、私が講談社に入社して週刊現代編集部に配属されたのは1973年の春だった。当時の週刊現代のライター(データマン)の多くは大学時代に学生運動にのめり込み、除籍や退学になった強者たちだった。テーマが決まれば取材先に飛び出していって、締め切りの夜は「馬に喰わせるほどのデータ原稿」を書きまくった。当時はペラ(200字)1枚いくらという払い方をしていたから、内容はともかく多く書いたほうがカネになった。

   取材力よりも腰の軽さが買われ、私の給料の何倍も稼ぐ若い記者たちがいた。だがこの商売、歳を重ねると収入が増えるという仕組みにはなっていない。大宅賞などを受賞した書き手でも、大御所すぎて使いにくいと敬遠されて仕事がこないこともままあるのだ。

   60歳を超えるとさらに仕事は減る。私と同年代で何とかやっているのは、奥さんが公務員など現役で働いている人が多い。若いころ稼いだカネを貯めていて、老後の暮らしを立てているというライターはほとんどいないと思う。東京近郊に住んでいるライターは電車賃がないといって都内に出てこないし、某先輩ライターは家で倒れて救急車を呼んだところ、救急隊員に「カネがないから病院には行かない」と苦しい息の下で言い張った。

   こんなライター残酷物語は枚挙にいとまがないから、この辺で今週の「週刊文春」と『週刊現代』の「老後破産」の記事について触れよう。

高額購入、退縮金減額、病気、離婚...破綻相談去年の2倍

   週刊文春では千葉市郊外に住む65歳になる山田清志氏(仮名)のケースが紹介されている。山田氏は上場企業にいて年収が1000万円近くまでいったという。それに妻が働いていて月収が40万円あったそうだ。

   1994年、44歳の時に2階建ての建て売りを購入。頭金を1000万円入れて3900万円の35年ローンを組んだ。月々12万円でボーナス時に30万円。住宅ローンが払えなくなるとは夢にも思わなかったという。だが、定年を迎えるころに退職金が減額されて1000万円に届かず、再雇用の条件も悪くなった。

   そして、定年を迎えてから人生が暗転する。妻が病気になり、医療費はかさむが収入は大幅に減り、貯金を取り崩して5年頑張ったが、とうとうボーナス時の30万円が払えなくなってしまったのだ。やむなく自宅を売却したが、600万円もの借金が残ってしまった。債権者と交渉して月3万円の返済にしてもらったが、それでも月20万円の年金だけではいずれ自己破産するしかないかもしれないと話している。投資もギャンブルも浮気さえしたことがないのにと肩を落とす。

   全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の佐々木延彦代表によれば、破綻の相談は今年に入って昨年の2倍の1000件に達する勢いだという。破綻に至る理由は、高額購入、退職金の減額、リストラ、病気、離婚などさまざまだが、相談に来る人たちに共通するのは、ローンを組むときに破綻を想像した人は一人もいないということである。

   ほかのケースも山田氏と似たり寄ったりで、年収や退職金が右肩下がりになることをローンを組む時点では想定していなかった。佐々木代表は「住宅ローンは、頭金を用意して、返済額は月収の二十%に抑えるべき」だとアドバイスをするが、われわれの世代ではもはや手遅れである。

   この中にも、住宅ローンの滞納で裁判所の強制競売にかけられたケースが出てくる。妻が今いる家から離れたくないと言い張ったため、売る時期を逸してしまったのだが、競売を待つのではなく、債権者と交渉して裁判所を通さずに売却して借金を整理する「任意売却」というやり方もあると書いてある。

   これも私の友人のライターの話だ。彼は私より少し年上で、事件ライターとしては一流の人間である。その彼がしばらく前に私を訪ねてきて、「悪いけど600万円貸してくれ」といきなり切り出した。そんな大金を右から左に出す財力もないが、事情を聞いてみた。彼は女房と離婚して湘南のほうで一人暮らしだったが、なかなか書いた本も売れず、サラ金に手を出したのだ。それが積もり積もって600万円になり、家が競売にかけられるという。

   競売にかけられれば彼の手元にはほとんど残らない。何とかしてくれというのだが、私にもいい知恵が浮かばない。不動産に詳しい私の友人に相談し、不動産を手広く扱っている若い友人にも相談したが、競売の時期が迫っているので打つ手は限られていた。そこで一か八か、競売に友人が入札しようといい出した。ライターの家はやや立地に難があるものの、資産価値は1500万円ぐらいはあるという。競売と同時に1200万円ぐらいで入札し、運がよければそれを越える買い手が現れるかもしれない。もしダメだったら、友人の不動産屋が買い取ってくれるといってくれた。

   狙いは見事にあたり、1400万円ほどで落札されたのである。彼の手元には6~700万円ほどが残ったのではないか。もちろん大変な喜びようで、一夕、中野駅近くの日本料理屋で歓待してもらって、深夜までカラオケにも一緒した。神奈川県の厚木のほうに家を借り、これから心置きなく執筆に専念すると笑顔で別れた。

   だが、それから2週間後、酔って帰ってきたのだろう、家に入って何かに躓き、硬いものに頭をしたたか打ち付け、大家が発見したときは死んでかなりの時間が経っていた。「老後破産」という言葉を見るたびに彼のことが思い出される。

「俺はずっとこれをやりたかった」リタイア後にヨット買ったり古民家に移り住んだり...

   週刊現代では、リタイアした後「オレはずっとこれをやりたかったんだ」といい出し、300万円もするヨット買ってしまった男や、九州の古民家に引っ越して椎茸栽培をやると、妻が反対するにもかかわらず移り住んでしまった男、早期退職して蕎麦屋になるといい出した男の話が紹介されている。しかし、こうした定年後は自分のやりたかったことをやるという『夢見る夢男』タイプが老後破産予備軍だというのだ。

   私にも退職後にやりたいことがあった。高校時代にやっていたエレキギターを習うことだ。退職金からカミさんがエレキギター代として30万円をくれた。これだけあれば若いころ憧れたフェンダーのギターが買えると喜んだが、いつの間にかそのカネは飲み代となって消えてしまった。このあいだAmazonを覗いたら、初心者用でアンプもついたエレキギターセットが1万6000円で出ていた。これでもいいから取り寄せて「Walk Don't Run」でも弾いてみようか。

「嫌いな女子アナ」トップに躍り出た加藤綾子!したたかで服装・メイク派手過ぎ

   週刊文春に恒例の「好きな女子アナ」「嫌いな女子アナ」が載っている。好きなほうをベスト5まで紹介しよう。1位は水卜麻美(日テレ)、以下、大江麻理子(テレ東)、夏目三久(フリー)、加藤綾子(フジ)、田中みな実(フリー)となる。なかでも水卜はダントツで、106票の大江を2倍以上上回り248票である。飾り気がなく自然体。ニュースも読めるし朗読も美しいという評価だそうだ。

   激動したのは嫌いな女子アナのほうで、長らく田中みな実と高橋真麻の2強時代が続いたが、今回大躍進で頂点に立ったのはフジのエース・加藤綾子だ。したたか、服装、メイクが派手で、タレントやアイドルに見えるというのが嫌われる理由だそうだが、2位に田中みな実、3位に高橋真麻と『健闘』している。夏目三久も5位に入っているから、好きと嫌いが紙一重ということだろう。

   同じ週刊文春に、六本木の路上で女性の携帯電話を持ち去って、撮影した動画を消したとして器物破損の疑いで書類送検されたジャニーズ事務所の山下智久(29)だが、堀越学園の同窓生だったモデルの大森美和(29)を7時間かけて口説き落とし、お持ち帰りしたという「スクープ撮」がグラビアとともに載っている。

   この大森は1か月前に彼氏と別れたばかりだそうだ。その傷心の彼女を口説いてホテルに連れ込むのは如何なものかと週刊文春は書いているが、このちょいワルタレントには痛くも痒くもないだろう。だけどグラビアに載っている大森って、なかなかいい女だね。

イヤミの達人・泉ピン子もべた褒めNHK朝ドラヒロイン!ギャラ最低ランクの5万円

   このところNHKの朝ドラがいずれも好調だ。「マッサン」も放送開始以来3週連続で平均視聴率20%超えだと週刊新潮が書いている。その快進撃には朝ドラ史上初の外国人ヒロイン、シャーロット・ケイト・フォックス(29)の魅力も大きいようだ。アメリカの女優だが本国では大部屋女優で無名だそうだ。

   週刊新潮で、彼女のギャラはオーディションで採用されたためほぼ最低ランクの1本5万円だとテレビ制作マンがいっている。ちなみに、仲間由紀恵は脇役でも1本100万円だそうな。

   彼女、北イリノイ大学大学院を卒業しているが、大学のロバート・シュナイダー博士は彼女のことをこう語っている。<「彼女はエクセレントな学生で、皆に好かれ、パフォーマーとしての才能を早くから見せつけていました」>

   彼女の義母役で共演している泉ピン子も称賛している。<「この間、部屋着を作って送ってあげたら、お花とカードが届いたの。カードには英語と通訳さんが翻訳した日本語が書いてありました。そういう礼儀もしっかりしていて、日本人以上に日本人らしい子。日本語もめちゃめちゃうまくなっています」>

   『イヤミの達人』泉ピン子にほめられればこの女優、大物になるかもしれない。

田園調布の豪邸「45歳年下妻射殺し自殺」独り占めしたかった?75歳病院長

   年の大きく離れた結婚が話題になるが、当人たちは外から窺い知ることができない苦労があるのかもしれない。週刊新潮は横浜桐峰会病院の理事長(75)と、年の差45歳違いの若妻(30)が田園調布の豪邸で心中した事件を報じている。2階の寝室で妻が散弾銃で撃たれ、その横で理事長の夫が銃を抱え仰向けに倒れていたという。

   この二人が結婚したのはほんの3年前。あまりの年の差のためだろうか、理事長は妻を病院のスタッフにも友人たちにも紹介しなかったそうだ。遺書も残さず、寝室も荒れた様子はなかったというから、新聞記者は「覚悟の上の心中」だったのではないかと推測しているが、それ以上のことはこの記事ではわからない。

   有り余る資産を持ち、孫ほど若い嫁さんをもらって、世間から見れば羨ましい夫婦だったに違いない。だが、同じように45歳違う妻を持った加藤茶は急に老け込んだといわれている。年の差からくる世代間ギャップもあっただろう。映画や小説によくあるように、自分が死んでしまえば、ほかの男とまた結婚するであろう彼女を独り占めしたくて無理心中を図ったのだろうか。永遠に謎である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか