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「A香港型インフルエンザ」感染拡大!なに、本当はワクチン効かないの?

   ワクチンが効きにくいA香港型のインフルエンザが先月末(2014年11月)から流行している。感染者は東京、埼玉、千葉など1都10県に及んでおり、医療関係者は注意を呼び掛けている。

製造過程で変質して狙い通りのワクチン作れない

   慶応大学医学部の菅谷憲夫客員教授が解説した。「A香港型はワクチン製造過程で性質が変わり、狙い通りのワクチンを作ろうと思っても上手くできないんです。変質してしまったワクチンを打っても効果は下がってしまいます」

   A香港型のワクチンの効果は、健康成人で40~50%にとどまり、高齢者の効果は10~20%程度しかないという。感染すると、「幼い子供は熱性のけいれんを起こしやすいうえ、インフルエンザ脳炎(いわゆる脳症)を起こしやすいんです。一番心配なのは高齢者で、肺炎を起こし、場合によっては亡くなることもあります」

   A香港型が流行した2013年1月、群馬・太田市の特別養護老人ホームで2週間に46人(高齢者31人、職員15人)が感染し、うち1人が亡くなった。ほぼ全員がワクチン接種を受けていたが、ほとんど効果はなかった。

なぜ急に「無効説」言い出したのか...

   番組にゲスト出演した感染制御学が専門の東邦大学看護学部・小林寅喆教授は「それでも打つべきだ」と強調する。健康成人には5割近くの効果があり、他への感染を防ぐし、高齢者や小さい子どももまったく効果がないわけではないからだ。

   萩谷順(ジャーナリスト)「A香港型は一番多く流行しているのに、なぜ今になって突然ワクチンは効きにくいといわれるのか。昨年と今年で何が違うのですか」

   小林教授「流行の度合いが違うから」と直答を避けた。そうしたワクチン効果の度合いを説明し、警鐘を鳴らすのは大学の医療関係者ではなく、厚労省など行政機関というわけだろう。日本はよほどの緊急事態でない限り、そうした医療情報は提供されない。