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「性同一性障害」子どもたちの悩み...制服、トイレ、着替え、呼び方に違和感

   体の性と心の性が一致せず、その違和が大きな苦痛となり、日々の暮らしの障害となってしまう「性同一性障害」の社会的な認知が進むなか、悩みを訴える子どもも増えている。

   仲間外れ、からかわれる、イジメにあうなどの不安や疎外感、制服やトイレなどで、不本意な性別の服装や行動を強いられることに苦痛を感じているのだ。そうしたことから自殺願望を持ったり、自傷・自殺未遂、不登校に陥るといったケースもある。

文科省の実態調査では全国に600人

   文部科学省は今年(2014年)、はじめて全国の学校を対象に実態調査を行ったところ、性同一性障害と見られる生徒・児童が少なくとも600人いることが確認された。文科省は4年前に性同一性障害の児童、生徒に対して配慮するよう、学校へ通知を出している。

   国谷裕子キャスターは「しかし、実際の現場では具体的な対応はまだまだ進んでいるとは言えません」と伝える。「トイレにしても、旅行などにしても、いろんな行事が男女という切り分けのなかで行われているので...」と高校校長は戸惑いを隠さない。

   一部の学校では、制服、トイレ、体育、着替え、名前の呼び方など性別で区別するシーンについて、性同一性障害の生徒がどう扱われたいかを聞き、全教員に周知し、さらに担任がクラスで性同一性障害について話すなどの努力をした結果、生徒が希望する性のもとで楽しく学校生活を送れるようになったという。

「人っていろんな生き方があるんだ」

   子どもの性同一性障害に詳しい医師で岡山大大学院・中塚幹也教授は、「取り組みは学校ごとにすごく差があり、学校のなかでも教員の温度差が大きい」と指摘する。「(性同一性障害の)社会的な状況について知り、基礎的な知識と正しい理解を持つことが一番大切です。教員、児童生徒、保護者も含めて、一人でも多く周囲に伝えていくことが大事ですね」と話す。

   早い段階での取り組みも重要だという。「幼稚園の小さい子どもでもわかるような説明の仕方はあります。先入観を持たない早いうちに、これは性のことに限らないですが、人っていろんな生き方があるということを受け止められる子どもが増え、そういう社会になっていくといいなと思います」

NHKクローズアップ現代(2014年12月9日放送「子どもの性同一性障害~揺れる教育現場~」)