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「選挙権18歳から」吹き出す矛盾!選挙違反しても少年法で軽く済む?

   20歳以上とされてきた選挙権を18歳に引下げる公職選挙法が近く成立する見通しで、来年夏の参院選挙から適用される。街で聞くと、18歳の女性は「政治のことを知っていろいろ思っていることはあります。参加することは良いことと思います」という。年配の女性からは「選挙権を与えるならば、その他のこと(法律)もそれにならって18歳に引き下げるのが良い」という指摘があった。

法律全般の検討せずつじつま合わせ

   選挙権を18歳に引き下げると、たしかに少年法など他の法律との矛盾が生じ混乱する可能性が出てくる。コメンテーターの野村修也(中央大大学委員教授・弁護士)が矛盾点を解説した。選挙権18歳に引き下げる議論の背景には、197か国のうち170か国が満18歳以上で、先進主要国で20歳以上は日本だけだ。

   ところが、本来なら「成人」とは何かの論議し、民法や少年法など法律全般の見直しが必要なのだが、憲法改正の手続きである国民投票について18歳から投票としたため、それとの連動で18歳に引き下げるということになった。順序が逆になってしまっているのだ。

200以上の法律が「成人は20歳以上」

   では、18歳に引き下げる公職選挙法の改正が成立すると、どんな矛盾が生じるのか。たとえば、18歳の高校生がかねて支持していた候補者の選挙運動に参加し、選対本部から青年部のリーダーに任命されたとする。高校生はさっそく選挙運動を開始し、友達40人に投票を依頼、見返りに貴重なフィギュアをプレゼントした。選挙後にこのことが発覚して選挙法違反で逮捕されてしまった。この場合、少年法が適用されるのかどうか。少年法は14歳以上の未成年は大人同様の刑事処分ではなく、家庭裁判所へ送致されると規定している。

   そこで野村教授はこんな疑問を投げかける。「考えねばならないのは、少年法で処分を軽くするとなった場合、未成年という立場を利用した違反を助長させる可能性が出てくる」 今回の改正では「一部大人扱い」と見なされ、大人同様の処分を適用することになっているようだが、野村教授によると20歳以上を成人とみなしている法律が200以上もあり、さまざまなところで矛盾が生じる可能性があるという。

   野村教授は「今回の改正は成人とは何かを考える第一歩に過ぎない。これら法律全体を改正していくことを検討していかねばならないが、飲酒や喫煙年齢を18歳に引き下げる必要があるのかという意見もあり、慎重に考える必要があります」と指摘する。