J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

新宿「ぼったくりキャバクラ」潜入記者も拒否できなかった11万円超!緩すぎる罰則で店側やり得

なかなか味わい深い「山口組」組員たちの俳句・短歌「刑務所にいる仲間に一句」

   このところ週刊誌は軒並み「夏枯れ」である。そこで私好みの『アサヒ芸能』の「菱の侠(おとこ)たちが『短歌・俳句』に込めた意地と哀愁」を取り上げる。

   司忍山口組六代目の肝いりで創刊された山口組の機関誌(いわば社内報)「山口組新報」に掲載された、傘下組員からの投稿による俳句や短歌を紹介している。

「厳寒に 堪えて芽を出す 蕗の薹」
「我が道を 行けよと燃ゆる 吾亦紅」

   警察の包囲網が狭まる中、組員たちの苦悩が出ていてジンとくる?

「刻まれし 墓石に思う 烈人の 春に吹かれし 一筋の道」
「秋晴れに 真っ直ぐ咲いた彼岸花 我生き様も かくありたけり」

   次の句は刑務所に入っている仲間を思って詠んだものだという。

「彼の為に 残したるかの 柿ひとつ」

   芥川賞作家・又吉直樹が俳人・堀本裕樹に俳句について教えを請う「芸人と俳人」(集英社)がおもしろい。いくつか又吉の句も載っているが、この人の感性のよさを窺わせる。

「銀杏をポッケに入れた報い」
「激情や 栞の如き 夜這星」
「夏の蝶はははと笑い飛びにけり」

東京弁護士会「ぼったくり被害110番」2万5000円で店側と交渉

   今週一番読ませたのが『週刊ポスト』の「ぼったくりキャバクラ」潜入記だった。週刊ポストによれば、東京・新宿の歌舞伎町で悪質なぼったくり被害が急増したのは昨年(2014年)の秋頃からだという。キャバクラなどで客が不当な高額料金を請求されたとすることし1~4月の110番通報は、昨年の同時期と比べて約10倍に膨れ上がっているそうだ。手口はどの店もほぼ同じだという。

   客引きが「60分のセット料金が4000円ポッキリ」などと言葉巧みに客を誘い、ホステスのドリンク代が1杯8000円、チャージが1人9万円など、セット料金以外の名目で料金を釣り上げる。警察を呼んでも「民事不介入」といって取り合ってくれないため、店側の法外な請求がまかり通っていた。

   相次ぐ被害に警視庁が重い腰を上げたのは5月下旬。悪質なケースについては都条例違反や恐喝など、さまざまな容疑で摘発を強化する緊急対策を始めたそうである。<「当局が把握していた約20ものぼったくり店のうち、13店舗を摘発。今は10店以下だ」>と週刊ポストで捜査関係者が話している。

   7月5日付の朝日新聞でも、同紙の記者がぼったくり店に潜入取材した記事が掲載されたが、「絶対に払わない」と宣言していた記者は、60分4000円といわれて入った店で約19万円を支払ってしまっている。同じ轍は踏むまいと週刊ポストの記者が潜入取材したのだが・・・。

   記者が入店したのは、60分4000円というお決まりのフレーズで誘う客引きに案内された雑居ビルの6階にある「G」という店だという。席に着くと「女性を品定めしたい衝動を抑えて以下の項目をチェックした」という。「女性のドリンクの値段 1杯5000円以上ならセット料金に含まれるハウスボトルを飲んでもらう」「テーブルチャージ 別途かかるなら店を出る」「メニュー表 都が定めたぼったくり防止条例によれば、料金は客が見える場所に提示しなければならない」

   メニュー表の値段設定をくまなくチェックしたが、特に不審な点はなかったそうだ。あとはホステスたちの「ドリンクおねだり」をどう拒むかだと意気込む。しかし、「ドリンクおねだり」を断り続けると、女性たちはほとんど口を開かなくなり、居心地が悪くなってきた。

   30分が過ぎた頃に「会計をお願い」した。すると、店長を名乗る男性が持ってきたのは、なんと15万円超の会計伝票だったという。明細には「入会金10万円」とあったそうだ。 <もちろん「聞いてないぞ!」と抵抗したが、店長は「入店時に伝えている。録音もある」という。

   彼がポケットから取り出したICレコーダーには、記者が入店し店員に案内される音声の中に、「入会金はお一人10万円になります」という店員の声が確かに入っていた。まったく聞き覚えがないので、記者に聞こえないようにICレコーダーに吹き込んだのだろう。「条例では事前に料金を提示しなければならない」と指摘すると、「お客様の目の前にあるじゃないですか」とメニュー表を指さした。

   黒革の厚いそのメニュー表は強力な磁石で貼りつけられた二枚式で、開くと入会金と、消費税を含めると48%(!)にもなる各種チャージ料が書かれていた>(週刊ポスト)

   記者がなお頑張ると、お決まりのセリフ。「お前が払わなければ親族に払ってもらう。実家まで取り立てるぞ、ゴルァー」

   記者には限界だったようだ。<入店から2時間が経過した頃、「本当にカネがない」と懇願すると、チャージ料だけ値引きしてくれた。結局11万円ほどを支払って解放された>

   警察が取り締まりを強化してもこのような店がなくならないのは、罰則が緩すぎるからだという。<「逮捕された後、客に15万円の示談金を払い、数日間拘束されただけで不起訴になった。店は一日200万円近い売り上げがあったから15万円なんて痛くない。7月中に歌舞伎町に新しい店を出し、名古屋にも進出する予定です」>とぼったくり店の店長が話す。

   青島克行弁護士がこうした場合の対策をこう話す。<「まず店員と交番に行くこと。ただし交番で助けてもらえないケースもある。東京弁護士会が設置した『ぼったくり被害110番』に電話すれば、2万5000円で店舗と交渉してくれるので、その日はその費用だけで帰れます。また、証拠を残すためにICレコーダーやスマホの録音機能などを使って店員とのやりとりを録音しておいたほうがいいでしょう」>

   古くて新しい手口だが、この手の店は雰囲気でわかる。私の後輩も酔っ払ってこうした店に入りそのまま眠ってしまった。起きたところ凄まれて10万円ほど払わされたが、これは入ったヤツが悪い。

下流老人・・・はっきり言えば貧乏老人!『上流』と比べ死亡率3・5倍、うつ病5倍

   『週刊朝日』に高齢者を4年間追跡調査をした2012年の研究で、生活保護受けている、いわば下流老人は、年収250万円以上の上流老人と比べて最大で3.5倍も死亡率が高かったという記事が載っている。下流といういい方が嫌だ。ハッキリ貧乏人といやあいいのに。

   がんになるリスクも下流老人のほうが高いという調査もあるそうだし、うつ状態にも陥りやすいという。そりゃそうだろう。カネがないから医者にも行けず毎年人間ドックなんて夢のまた夢。高齢者約3万3000人を対象にした調査では、65~69歳では最も低所得のグループは最も高所得のグループと比べて平均で5倍、女性で4.1倍うつ状態の人が多かったという。

   <1980年代中盤以降、日本人の所得格差は広がっており、経済協力開発機構(OECD)加盟の先進国のうち高いレベルにある。日本人の約16%が貧困状態にあると言われ、中でも66歳以上の下流老人は約19%にのぼる>

   週刊朝日は「健康格差を生き抜くための6つの心がけ」というのを挙げている。「周囲の人とのつながりをつくる」「家族、職場、地域など3つ以上のつながりをつくる」「なるべく多様な人とゆるくつながる」「ストレスと上手につきあう」「健康に悪い生活習慣を改める」「健康を損なうのは自分が悪いと自己責任で片付けない」である。

   上流の下、下流の上である私は、おかげさまでここまでうつにもならずどうにか生きてきた。今、中野孝次の『清貧の思想』を読み返している。浅草「並木」の蕎麦を喰いたい、人形町「喜寿司」の寿司を食いたいという欲望と懸命に闘いながら。

こんな時代だからこそ必要な『大知性』鶴見俊介さん死去!残された我々は・・・

   評論家で哲学者の鶴見俊輔さんが亡くなった。93歳だった。母方の祖父は政治家の後藤新平。38年に渡米してハーバード大学哲学科に入学したが、日米開戦後の42年3月に無政府主義者の容疑で逮捕され、戦時交換船で帰国した。

   戦後、丸山真男らと『思想の科学』を創刊。60年5月、新日米安全保障条約強行採決に抗議して東京工大を辞職し、翌年、同志社大教授となる。大学紛争下の70年に辞職。作家の小田実らと米国のベトナム戦争に反対する「ベ平連」(ベトナムに平和を!市民連合)運動を展開した。

   私の周りには鶴見さんに私淑する友人が多くいる。亡くなったライターの中川六平、アメリカ国籍を取って向こうに住んでいる室謙二。六平さんは鶴見さんの「言葉」をまとめる本を書いている途中で死んでしまった。室さんは鶴見さんのビデオをいくつも持っているはずだ。二人とも「ベ平連」つながりである。今のような息苦しい時代にこそ鶴見さんのような人が必要なのに、次々に世を去って行く。残されたわれわれでできることをやらなければ、あの世で鶴見さんたちに顔向けができない。

ジワジワ広がる「少年A症候群」の無気味・・・愛知県の65歳刺殺高校生「人を殺してみたかった」

   このところ「人を殺してみたい」というだけで何の関係もない人間を殺す犯罪が増えている。少年A症候群とでもいうのだろうか。愛知県日進市で65歳の男性を背後からナイフで刺して殺した17歳の県立高校3年のケースもそうだ。『週刊新潮』によれば<「身を守ろうとしたときにできる『防御創』がほとんどない。だから、抵抗する間もなく殺害されたと捜査関係者は見ています」(全国紙社会部デスク)>。犯行の後、6000円の入ったショルダーバックを奪い、近くの公園で返り血を浴びた身体やシャツを洗い流したそうだ。

   憎しみもない行きずりの人間をこうまで残酷に殺せるものなのか。この少年の両親は幼い頃に離婚し、おじいちゃんとおばあちゃんにひきとられたが、大事に育てられたそうだ。学校では普通の生徒だったが、ネットでサバイバルナイフを購入し、人の殺し方に興味があると同級生に話していたという。

   何がきっかけでそうしたものに興味を覚えたのかはわからない。少年は人を殺してから捕まるまでいつもと変わらず学校へ行っていたそうだ。良心の呵責もなしに衝動的に人を殺す子どもたちの増加は、この国の将来への不安を示す予兆の一つなのかもしれない。

1週間に5回射精する男性「前立腺がんリスク」3分の1!禁欲は体に悪いらしい

   最後に先週に引き続き、「がんになるのはどっち?」をやっている週刊新潮を紹介しよう。まずは「紫外線防止で『日傘をさす人』と『日焼け止めを塗る人』皮膚がんになるのはどっち?」。日傘はいいが、日焼け止めクリームには、それ自体に皮膚がんを引き起こす成分「酸化チタン」が含まれていて、これが紫外線に反応して身体に猛毒な活性酸素を発生させるから?。これの含まれていないものを買うべきだという。

   では、「自慰行為が習慣の男性」と「日々、禁欲的な男性」ではどうか。オーストラリアの研究者の研究で、定期的に自慰行為を行う男性は前立腺がんを防ぐことができるという結果が出ているという。1週間に5回以上射精している男性は、そうでない男性に比べて、将来的に前立腺がんになる危険性が3分の1だというのだ。あなたも週5回射精してみます?

   遺伝性の高いがんは「大腸がん」「乳がん」「前立腺がん」だそうだから、親兄弟に前立腺がんがいる人はせっせとセックスに励むことが「予防」になるということか。幸い、私の親族に前立腺がんはいないようだから、「死ぬまでセックス」しなくてもいいようだが、嬉しいようなちょっと寂しいような・・・。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか