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宮崎「平和の塔」土台―「戦争中に持ち去られたもの。返してほしい」中国の博物館

   日中戦争下の1940年に建てられた宮崎市の「平和の塔」の土台の一部に中国から持ち出された石があり、返還してほしいと中国の民間の博物館から求められている。今月(2015年10月)にも宮崎を訪れるといい、関係者は困惑している。司会の羽鳥慎一も「なかなか難しい問題ですね」という。

霊獣「麒麟」の彫刻石、孫文の墓地の石、南京紫金山の石・・・

   平和の塔は、宮崎市内を見下ろす観光名所の県立平和台公園にあり、高さは約37メートル。正面に「八紘一宇」と大きく彫られている。塔の土台には約1700個以上の石があるが、約200個は中国から運ばれたものという。

   野上慎平アナの説明によると、返還要求されている主なものは霊獣「麒麟」を彫刻している石、孫文の墓地の石、南京市民のシンボルの南京紫金山の石だ。25年間、石を調査している「『八紘一宇』の塔を考える会」の税田啓一郎会長らが、「麒麟」のデザインの石について南京市の博物館に鑑定をしてもらうと、「国宝級で国外に出すものではない。戦争時の占領地から奪ったのも同然ではないか」といわれたそうだ。

宮崎県も困惑「直接返還要求が来ていないので・・・」

   南京民間抗日戦争博物館の呉先斌館長は「南京のものを南京の人に返すのは当然です。時間がかかることはわかりますが、絶対に取り戻したい」といっている。

   塔を管理している宮崎県は「直接返還要求が来ていないので何もコメントできない」としているが、税田会長は「具体的に返還するのは技術的に不可能。南京の人とも話し合って一番良い解決策を見つけたい。返還はする。ちゃんと返しますが、一時的に預かっており、歴史を後世に伝えてはどうか」といっている。

   中国の国情に詳しい拓殖大学の富坂聰教授は「いまは民間レベル。日中政府間での話し合いがどうなるか、それが焦点」とみている。

   羽鳥「もう70年、いまさら言われてもというのか、まだ70年しか経っていないというのか。立場の違いがありますね」