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「児童虐待相談」過去最多!弱い子供に向かう夫への怒り・・・連鎖による虐待

   児童相談所が対応した2014年度の児童虐待相談件数は8万8931件と過去最多を記録した。プレゼンターの森本さやかが「取材を進めると新たな虐待の形が見えてきました」と「真相チェイス!直撃御免」コーナーで伝えた。

   栃木県日光市で児童虐待の防止に取り組むNPO団体が、母親にネグレクトされ食事も与えられない2歳半の女児を保護した。食事を与えると「おいしい」とパクパクと食べ始めた。身長・体重は2歳児の平均を下回り、言葉の発達の遅れが見られるという。「お母さん好き」と聞かれて、女児は「好き。怒ってもカワイイ」といじらしく答えた。

「気がつくと、泣きながら子供を殴っていた」

   母親と子どもの関係に何が起きているのか。見えてきたのは「連鎖による虐待」だという。

「子どもさんの様子はどうですか。心配しています」

   岡山・倉敷市児童相談所の浅田浩司課長は夜、虐待の恐れがある家庭を訪問して声を掛ける。小学3年の息子と暮らす30代のシングルマザーはこう話す。「自分のなかで何もかもできない。お風呂に入れてあげることもできない。ああ、もう嫌だあって」

   浅田課長は「お母さん自身がしんどくて、気力も弱って、子供の世話まで意識が回らないという状況ですね。悩みが頭をよぎるとネグレクトに陥ってしまうんです」と言う。

   きっかけは別れた元旦那からの暴力だった。何かのはずみで思い出すとパニック障害に陥り、発作が起きると育児ができない状態が続く。横浜市青葉区のメンタルクリニック「響」(ひびき)には「連鎖による虐待」の渦中にある母親が多く訪れる。ある母親は「面影が元夫に似ているとか、何かのきっかけで自分でも泣きながら殴っていたりとか、髪の毛を引っ張ってなぎ倒したりとか。自分が母親でいいんだろうかと悩んだ時がすごくありました」と話す。

虐待・ネグレクト原因「夫婦間のトラブル」増加中

   クリニックの本津浩明院長は「夫から受けた心の傷、怒りのエネルギーがその後、弱い存在の子どもたちに向かってしまう。この連鎖を断ち切るのは容易ではありません」という。厚生労働省によると、こうした夫婦間のトラブルが原因で虐待に至るケースが増加していて、「生まれてこなければよかった」など言葉による暴力や無視が急増中という。

   取材した森本「母親本人も虐待したくてしているわけではないんです。過去の元夫との関わりがあって、感情を抑えきれず虐待してしまう。でも、子どもはお母さんが好きという。ここが難しいところなんです」