51年半も続いた東海テレビ制作の昼ドラの最後が「嵐の涙」だ。振り返りということなのか、昼ドラゆかりの俳優たちがゲスト出演するのも見どころとなっている。「花嫁のれん」シリーズの野際陽子が役柄もそのままに大女将・神楽志乃として登場、花登筺脚本「あかんたれ」シリーズの志垣太郎の顔もあり、懐かしい顔と再会できるのが嬉しい。
「無情にも断ち切られた親子・夫婦のきずなを、運命に翻弄されながら紡ぎ直していく、真実の愛の物語」とあるように、テーマは『真実の親子愛』である。夫と生まれたばかりの娘を同時に失い、失意の中にいた里子(佐藤江梨子)は育児放棄されている赤ちゃんを連れ出して死のうとするが、泣き叫ぶ赤ちゃんに思いとどまり、生きる決心をする。
そして10年後。舞台は東京から愛知県常滑市へ。常滑焼の工房で働く里子と自分の娘と偽って育ててきた春子(ほの花)。死んだ思っていた夫と娘は、茶道の次期家元の夫と娘となって裕福に暮らしていた。里子と夫は再会するが、夫は過去の記憶を失っていた。
と、昼ドラの要素を全部詰め込みましたという脚本だ。誰が書いているのかと調べると、「脚本『最後の昼ドラ』プロジェクト」とある。船頭多くしてということなのか、寄せ集め感は半端ない。ドロドロで攻めるわけでもなく、メロドラマでもなく、らしさがあまり感じられない。正直、面白くないのだ。
そして、どうしても気になるのが俳優陣の演技の稚拙さだ。佐藤江梨子の里子は大変な人生を生きてきたのもかかわらず、台詞まわしが淡々としすぎていてリアリティがまるでない。茶道の家元の遠藤久美子が綺麗な言葉づかいはよしとしても、ただゆっくりしゃべるだけ。早い話が、2人ともダイコンだ。東海ドラマ昼ドラに有終の美を飾って欲しかったが、残念である。でも、これまで楽しませてもらった感謝を込めて、最終回までお付き合いしたい。
(月~金ひる1時25分)
くろうさぎ