J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

気楽なおひとりさまに待ち受ける人生のピンチ!賃貸、入院、介護施設すべてお断り・・・身元保証人がいない

   「おカネも時間も自分のためだけに使える『おひとりさま』の将来に、落とし穴があることがわかってきました」と松村正代キャスターが取り上げた。賃貸住宅、介護施設、病院など、あらゆるところで求められる身元保証人がいないという事態だ。ある民間の調査によると、じつに9割以上の施設や病院が保証人などを求めているという。

厚生労働省は拒んではいけないと指導

   なぜ身元保証がいるのか。全国賃貸住宅経営者協会連合会の川口雄一代表理事はこう話す。「(入居者が死ぬと)次の入居者には(死亡事実の)告知うんぬんというのが出てきます。それと遺品整理で最低で数十万円の費用がかかります。(家賃)1年分ぐらいはすぐぶっ飛びますから。じゃあ何のために貸すか、収支が合わない」

   社会福祉法人「サンシャイン会」の川西基雄理事長は「(高齢者の)意思、とくに医療の同意、簡単に言えば、医者が『どうするのか』というときに、(身元保証人が)いなかったら、誰に聞くのという話になります。間違っても施設がこうしてくださいとは言えないですから」と話す。

   こうした現実を淑徳大・結城康博教授は「病院などは公的な施設なので、厚生労働省は身元保証人がいないことで拒んではいけないと指導をしていますが、いろいろ課題があります」という。

「日本ライフ協会」破産!途方に暮れる60代女性

   有料の身元保証サービスに頼る人もいるが、「(身元保証団体に対しては)実際には(行政の)指導、監視がない」(結城教授)のが実態だ。先月(2016年4月)、大手の「日本ライフ協会」が破産した。預託金3億円近くを職員の人件費を流用していたという。

   夫の死後、東京都内に一人で暮らす60代女性は、孤独な一人暮らしの不安から日本ライフ協会と契約した。費用は156万円で、保証人になるほか、緊急時の駆けつけや葬儀の支援、家財の処分などのサービスも含まれていたという。

   女性は「保証人がいないと生きていけない」「保証人さんがいないと困るということで堂々めぐり」と悩んだ末、別の団体と契約を結んだ。あらたに120万円を支払ったそうだ。

NHKクローズアップ現代(2016年5月24日放送「おひとりさまピンチ!身元保証人がいない」)