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「ものづくりニッポン」復活の兆し!世界があっと驚く新技術、画期的製品が続々登場

   ビックリするような新製品が続々と登場して、元気のなかった日本のモノづくりに革命が起きているという。主役は大企業から飛び出した若い技術者や現役の大学生が立ち上げたベンチャー企業だ。ここ3、4年、リスクが大きいと二の足を踏んでいた銀行も積極的に融資するようになり、「資金調達で、個人起業家でも大企業に負けないぐらいの製品を作れる環境が整ってきた」と見る専門家もいる。

   ドイツで7月(2016年)、世界各国の大学や企業のチームが参加するロボット技術を競う大会が開かれ、日本の人工知能のベンチャー企業「プリファード・ネットワークス」が会場を沸かせた。ロボットが棚の商品をいかに早く正確に取り出すかを競う競技で、形や材質の異なる商品を棚から素早く取り出すのは容易ではないが、同社のロボットは事前に1万通りものパターンを学習して世界最高得点で優勝した。プリファード・ネットワークスは東京大大学院でスーパーコンピューターを研究していた西川徹社長(33)が、仲間5人と立ち上げた会社だ。

わずか2メートル四方の超小型スパコン

   ベンチャー企業111社が8月に東京・港区で展示会を開いた。ひときわ注目されたのが設立3年目の「16Lab」の指輪型情報端末だった。指輪を動かすだけでリモコンの代わりや個人の認証ができ、スマートフォンの次の商品になると期待されている。木島晃社長(43)が社員7人と開発した。

   設立9年目のハードウエアベンチャー「セレボ」の約100人いる社員の9割は転職組である。ソニーコンピューターエンタテイメントに在籍していた人、ホンダで自動車を製造する設備の開発に携わっていた人、日立製作所の家電部門にいた人など、名だたる企業でトップエンジニアだった人材が集まっている。ジャンルの異なるアイデアを融合することで、独創的な製品を次々生み出している。

   たとえば、インターネット上のカレンダーと連動して大音響で眠気を一気に払ってくれる目覚まし、走行状態を解析して快適で安全な乗り方を教えてくれる賢い自転車などだ。岩佐琢磨社長(37)は「日本がいま一番有利なポジションにいる。どんどん大手企業を飛び出して、ベンチャーに来てくれるすごくいい流れでチャンスだと思っている」と話す。

   極め付けは超小型スーパーコンピューターを開発した「ペジーコンピューティング」だ。テニスコートほどの広さが必要だったスパコンをわずか2メートル四方に収めることに成功した。特殊な液体を使ってコンピューターを冷やす世界に例のない方法を確立したのだ。1つタンクの中にスマホ1万6000台分ほどの機能が16セット入っているという。

   大学卒後、アメリカのシリコンバレーで起業の経験を積んだ齋藤元章社長(48)は、「これは日本のモノづくり企業10社の高度な製造技術で生まれた。日本以外には絶対に不可能なことだと思います」と話す。

大企業からの転職技術者、大学生がベンチャー起業

   このほか、大学生たちがベンチャー企業を立ち上げるケースも盛んになっている。東京大では起業家を育成する講義が大人気で、卒業後の進路も就職ではなく、起業の道を選ぶ学生が増えているという。東京・本郷の東京大周辺には、学生が立ち上げたベンチャー企業がおよそ10社ある。東京大産学協創推進本部の各務茂夫教授は「優秀な学生ほどベンチャーに向いているのではないかという感覚を2、3年前から強く感じていた」という。

   ゲスト出演した起業家の孫泰蔵氏は「インターネットの世界はアメリカが動かしてきたが、これからは日本の存在が大きくなります。昨年から新しい波が押し寄せている。『IoT』というキーワードですが、Internet of Thingsの略です。インターネットはこれまで画面の中のものだったのが、飛び出してありとあらゆるモノがネットにつながるという意味で、世界がガラッと変わっていく」と語る。

   久保田祐佳キャスター「必ず変わっていくものですか」

   孫氏は「間違いなく。風景がSF映画で見たような時代になっていきますね」と太鼓判を押した。

モンブラン

NHKクローズアップ現代+(2016年9月7日放送「逆転ホームランなるか? 日本の『新・ものづくり』革命」)